日本地球惑星科学連合2022年大会

講演情報

[J] 口頭発表

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[U-09] 気象津波の発生を伴ったトンガ海底火山噴火

2022年5月22日(日) 13:45 〜 15:15 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:日比谷 紀之(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、コンビーナ:前野 深(東京大学地震研究所)、コンビーナ:中島 健介(九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)、コンビーナ:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、座長:田村 芳彦(海洋研究開発機構 海域地震火山部門)、前野 深(東京大学地震研究所)

14:45 〜 15:00

[U09-11] フンガ火山と小笠原弧西之島との類似性

*田村 芳彦1 (1.海洋研究開発機構 海域地震火山部門)

キーワード:安山岩、地殻構造、大陸

トンガ・ケルマディック弧は、太平洋プレートがトンガ・ケルマディック海溝からインド・オーストラリアプレートに沈み込むことによって形成される火山弧であり、ニュージーランドの北島からトンガにかけて2,800 km続く。北部はトンガ弧、南部はケルマディック弧と呼ばれ、トンガ弧の東のトンガ海溝は世界最深のマリアナ海溝に次いで深く、最深部は10,800 mある。太平洋プレートの沈み込みでできる火山という点で、伊豆小笠原マリアナ弧の火山と類似点も多い。フンガ火山はトンガ弧の海底火山の一つである。
過去の研究から推定されたトンガ弧の地殻構造を見ると、東から太平洋プレートが沈み込んでいて、トンガ弧が形成され、その西にラウ海盆がある。トンガ王国の首都があるトンガタプ島はトンガ海嶺の東側(より海溝側)に位置する。火山フロントと呼ばれる火山活動が活発な領域は、トンガタプ島の西側に位置する。人の住む島と火山フロントとの位置関係は、伊豆小笠原マリアナ弧で、西之島などの海底火山が火山フロントに位置し、グアム、サイパン、ロタなどの人の住む島がより海溝側に位置しているのと似ている。さらに、トンガ弧にも伊豆小笠原マリアナ弧と同じような安山岩の地殻がある。私たちは、伊豆小笠原マリアナ弧の調査から、「大陸は海でできる」という新しい仮説を提示してきた。トンガの調査が進めば、この仮説を補強する材料が得られるのではないかと期待している。さらに、フンガ火山の噴火は、西之島と同じような薄い地殻に形成された海底火山の噴火という意味で、西之島の今後の噴火を予測する上で、重要な意味を持っている。