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[U09-12] 越境火山災害に対する国際リスクガバナンスーフンガ・トンガ噴火対応に着目して
キーワード:越境災害、火山、ガバナンス
本報告では、国境を越えて被害をもたらす越境火山災害への対応をリスク・ガバナンスの観点から検討する。 2010年にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が大規模に噴火した。この噴火による火山灰は欧州広域に拡散し、欧州各国の空港が閉鎖され航空便が欠航した。空港再開にあたっては、運航可能な火山灰濃度をめぐる政府間の調整が求められたものの、突発的な噴火に対応するための国際協調による政策決定の仕組みがなく、入手可能な科学技術データが限られる状況における政策決定の難しさが提示された。この災害をきっかけに、欧州では新たな災害リスクガバナンスの仕組みが構築されており、その特質は以下の点に見ることができる。
(1)火山防災に関わる政府関係機関、科学者、民間セクター、報道機関等の多様なアクター間のネットワークの構築と連携促進
(2)火山灰の広域拡散予測と実観測に基づく降灰情報の共有
(3)環境モニタリング機関との連携による環境被害の把握
(4)リアルタイムの火山観測情報の国内外への公開と報道機関との連携
以上に述べたように、欧州では2010年の火山噴火をきっかけに国際協調による越境火山災害対応の仕組みが構築されつつあるが、アジアにおける越境火山災害対応の仕組みは未だ構築過程にある。災害対応については、2004年のインド洋津波災害以降、国際協調による仕組みの構築が進められており、ASEAN加盟国の災害対応を調整するための地域国際機関として、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)が2011年に設立された。AHAセンターは、国際機関、民間セクター、国際赤十字・赤新月社連盟、国際連合、ASEAN防災緊急対応協定国(AADMER)等と提携して災害対応にあたることになっている。また、災害監視については、災害発生時に地球観測衛星画像等を国際的に共有するための仕組みとして2000年に国際災害チャーターが採択されており、2005年にはアジア・太平洋地域宇宙機関会議(ARSAF)により、インターネット等を活用して、衛星画像や災害対応に求められる地図情報等を迅速に提供するための国際協力プロジェクト「センチネルアジア」が実施されている。本研究では、近年アジアで構築されつつあるこれらの仕組みが、越境火山災害対応にどのように適応されているのか、またどのような課題があるのかについて、2022年のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ噴火対応の事例から検討する。
(1)火山防災に関わる政府関係機関、科学者、民間セクター、報道機関等の多様なアクター間のネットワークの構築と連携促進
(2)火山灰の広域拡散予測と実観測に基づく降灰情報の共有
(3)環境モニタリング機関との連携による環境被害の把握
(4)リアルタイムの火山観測情報の国内外への公開と報道機関との連携
以上に述べたように、欧州では2010年の火山噴火をきっかけに国際協調による越境火山災害対応の仕組みが構築されつつあるが、アジアにおける越境火山災害対応の仕組みは未だ構築過程にある。災害対応については、2004年のインド洋津波災害以降、国際協調による仕組みの構築が進められており、ASEAN加盟国の災害対応を調整するための地域国際機関として、ASEAN防災人道支援調整センター(AHAセンター)が2011年に設立された。AHAセンターは、国際機関、民間セクター、国際赤十字・赤新月社連盟、国際連合、ASEAN防災緊急対応協定国(AADMER)等と提携して災害対応にあたることになっている。また、災害監視については、災害発生時に地球観測衛星画像等を国際的に共有するための仕組みとして2000年に国際災害チャーターが採択されており、2005年にはアジア・太平洋地域宇宙機関会議(ARSAF)により、インターネット等を活用して、衛星画像や災害対応に求められる地図情報等を迅速に提供するための国際協力プロジェクト「センチネルアジア」が実施されている。本研究では、近年アジアで構築されつつあるこれらの仕組みが、越境火山災害対応にどのように適応されているのか、またどのような課題があるのかについて、2022年のフンガ・トンガ=フンガ・ハアパイ噴火対応の事例から検討する。