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[U09-P15] 2022年トンガ噴火起源の大気波動に伴う気圧・気温・風速変化の検出と大気波動エネルギー量推定
キーワード:2022トンガ噴火、大気波動、気圧・気温・風速変化、総大気波動エネルギーの見積もり、気象庁 アメダス、大気ラム波
2022年トンガ噴火により発生した大気音響重力波を気象庁アメダスシステムの気圧データをみると、それぞれの観測点で波形がよく似た、継続時間が20分の圧力増加1.6hPaのピークとそれに続く最小-0.5hPa程度の陰圧の波動が続く大気境界波(ラム波)が300m/s程度で到達している。大気境界波の南西諸島と父島への到着時刻はそれ以外へのそれよりも系統的に約1〜3%速いのは経路上の大気状態の差異を反映していると考えられる。
大気境界波は大気の断熱圧縮を伴うため気温が変化し、また波動現象として風速が変化することが期待される。気象庁アメダスシステムで計測された気温と風速データは背景ノイズが大きく各観測点のデータに大気境界波に伴う変化量をみることはできないが、環境変化の小さい気象庁松代地震観測所大坑道内では気圧変化と同期した坑内室温変化を検出している。大気境界波到来時の気圧変化の相互相関係数を最大にするように、アメダス観測150点の時刻に合わせて気温と風速10秒値データを多点スタックしてみると、気圧変化と同期した明瞭な気温変化と風速変化を検出した。トンガからアメダス観測点方向の風速成分のみに風速変化が見られ、それに直交する方向には変化が見られない。気温変化と風速変化の時間変化(波形)は、断熱圧縮と線形波動論に基づいて気圧変化から予測される時間変化(波形)と良い一致を見せており、気温変化と風速の最大値はそれぞれ、0.10Kと0.34m/sであった(図参照)。
また、スタック気圧波形にはトンガからの大気直達境界波に加えて、さらに一周した大気境界波も観測されている。球対称大気中の伝播から予測される大気境界波極性の反転は見られないが、大気直達境界波の伝播速度と距離減衰率が求められた。
風の影響や火口から放射されるエネルギーの方位依存性を無視し、アメダスで計測された平均的な大気境界波がトンガ火山噴火により四方に均質に広がったと仮定する。大気境界波により輸送された全波動エネルギー(運動エネルギーと内部エネルギーと位置エネルギーの和)は、大気境界波のスケールハイトや距離減衰を考慮に入れて、9.4x10^17 ~ 1.1x10^18 Jと見積もられる。これはWatada and Kanamori [2010]により、1991年ピナツボ火山噴火時に長周期地震動(レイリー波)から見積もった大気中に注入されたエネルギー量のほぼ1/7である。
大気境界波は大気の断熱圧縮を伴うため気温が変化し、また波動現象として風速が変化することが期待される。気象庁アメダスシステムで計測された気温と風速データは背景ノイズが大きく各観測点のデータに大気境界波に伴う変化量をみることはできないが、環境変化の小さい気象庁松代地震観測所大坑道内では気圧変化と同期した坑内室温変化を検出している。大気境界波到来時の気圧変化の相互相関係数を最大にするように、アメダス観測150点の時刻に合わせて気温と風速10秒値データを多点スタックしてみると、気圧変化と同期した明瞭な気温変化と風速変化を検出した。トンガからアメダス観測点方向の風速成分のみに風速変化が見られ、それに直交する方向には変化が見られない。気温変化と風速変化の時間変化(波形)は、断熱圧縮と線形波動論に基づいて気圧変化から予測される時間変化(波形)と良い一致を見せており、気温変化と風速の最大値はそれぞれ、0.10Kと0.34m/sであった(図参照)。
また、スタック気圧波形にはトンガからの大気直達境界波に加えて、さらに一周した大気境界波も観測されている。球対称大気中の伝播から予測される大気境界波極性の反転は見られないが、大気直達境界波の伝播速度と距離減衰率が求められた。
風の影響や火口から放射されるエネルギーの方位依存性を無視し、アメダスで計測された平均的な大気境界波がトンガ火山噴火により四方に均質に広がったと仮定する。大気境界波により輸送された全波動エネルギー(運動エネルギーと内部エネルギーと位置エネルギーの和)は、大気境界波のスケールハイトや距離減衰を考慮に入れて、9.4x10^17 ~ 1.1x10^18 Jと見積もられる。これはWatada and Kanamori [2010]により、1991年ピナツボ火山噴火時に長周期地震動(レイリー波)から見積もった大気中に注入されたエネルギー量のほぼ1/7である。