10:45 〜 12:15
[AAS02-P07] 2019年台風第15号(Faxai)と環境場の関係
キーワード:台風、環境場
ムーンショット目標8において,安全で豊かな社会を目指した台風制御の可能性が検討されている.この台風研究の中で,台風が環境場にどのような影響を与えているかを定量的に把握することが一つの重要なテーマになる.観測データを用いて台風と環境場の関係について調査した研究では,太平洋高気圧との関係性などが示されている.しかし,台風が環境場に与える影響には季節依存性があり,より定量的な理解を得るためには,類似した条件下で多くのサンプルを用いた台風と場の関係の調査が望ましい.そこで本研究では, NICAMによる2019年台風15号(Faxai)についての大アンサンブル実験結果から抽出したFaxai様渦のトラックデータを用いた解析を行い,台風の強度と環境場の関係を検討する。Faxai-like vortexのうち,日本付近(138°E―143°, 40°N)を通過しているトラックを抽出し,(1)日本付近通過時の風速が40 m/s以上(strong),(2) 日本付近通過時の風速25 m/s未満かつ生涯最大風速25 m/s未満(weak)の2条件にわけ,力学場・降水量・可降水量等のコンポジット解析を行った.
日本付近の通過時刻が2019年9月8日のトラックデータについて解析を行った結果,降水量では, Faxaiの日本通過時の強度の違いと水蒸気輸送や降水分布には関係があることがわかった.また,Faxaiの発達度合いの差に対応して2019年台風13号(Lingling)が通った領域の降水量に差が見られることから,FaxaiがLinglingの衰退速度に影響している可能性,もしくは,Faxaiの発達とLinglingの発達に関係がある可能性が示唆された。今後,2つの台風の発達度合いの観点から,環境場との関係を調べる必要がある.
日本付近の通過時刻が2019年9月8日のトラックデータについて解析を行った結果,降水量では, Faxaiの日本通過時の強度の違いと水蒸気輸送や降水分布には関係があることがわかった.また,Faxaiの発達度合いの差に対応して2019年台風13号(Lingling)が通った領域の降水量に差が見られることから,FaxaiがLinglingの衰退速度に影響している可能性,もしくは,Faxaiの発達とLinglingの発達に関係がある可能性が示唆された。今後,2つの台風の発達度合いの観点から,環境場との関係を調べる必要がある.