日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS02] 気象の予測可能性から制御可能性へ

2023年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (4) (オンラインポスター)

コンビーナ:三好 建正(理化学研究所)、中澤 哲夫(東京大学大気海洋研究所)、Shu-Chih Yang(National Central University)、高玉 孝平(科学技術振興機構)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/22 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[AAS02-P07] 2019年台風第15号(Faxai)と環境場の関係

*菱沼 美咲1,2那須野 智江2,3筆保 弘徳1,3山田 洋平2小玉 知央2中野 満寿男2 (1.横浜国立大学、2.海洋研究開発機構、3.横浜国立大学台風科学技術研究センター)

キーワード:台風、環境場

ムーンショット目標8において,安全で豊かな社会を目指した台風制御の可能性が検討されている.この台風研究の中で,台風が環境場にどのような影響を与えているかを定量的に把握することが一つの重要なテーマになる.観測データを用いて台風と環境場の関係について調査した研究では,太平洋高気圧との関係性などが示されている.しかし,台風が環境場に与える影響には季節依存性があり,より定量的な理解を得るためには,類似した条件下で多くのサンプルを用いた台風と場の関係の調査が望ましい.そこで本研究では, NICAMによる2019年台風15号(Faxai)についての大アンサンブル実験結果から抽出したFaxai様渦のトラックデータを用いた解析を行い,台風の強度と環境場の関係を検討する。Faxai-like vortexのうち,日本付近(138°E―143°, 40°N)を通過しているトラックを抽出し,(1)日本付近通過時の風速が40 m/s以上(strong),(2) 日本付近通過時の風速25 m/s未満かつ生涯最大風速25 m/s未満(weak)の2条件にわけ,力学場・降水量・可降水量等のコンポジット解析を行った.
日本付近の通過時刻が2019年9月8日のトラックデータについて解析を行った結果,降水量では, Faxaiの日本通過時の強度の違いと水蒸気輸送や降水分布には関係があることがわかった.また,Faxaiの発達度合いの差に対応して2019年台風13号(Lingling)が通った領域の降水量に差が見られることから,FaxaiがLinglingの衰退速度に影響している可能性,もしくは,Faxaiの発達とLinglingの発達に関係がある可能性が示唆された。今後,2つの台風の発達度合いの観点から,環境場との関係を調べる必要がある.