日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS03] Extreme Events and Mesoscale Weather: Observations and Modeling

2023年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (3) (オンラインポスター)

コンビーナ:竹見 哲也(京都大学防災研究所)、Sridhara Nayak(Japan Meteorological Corporation)、飯塚 聡(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[AAS03-P04] d4PDFに見る淡水利用可能量・連続無降水日数の気候変動影響

*大庭 雅道1、新井 涼允1、今村 正裕1、佐藤 隆宏1、豊田 康嗣1 (1.電力中央研究所)

キーワード:淡水利用可能量、連続無降水日数、旱魃、自己組織化マップ、気候変動、気象パターン

気候変動による水資源の変化は、電力(特に水力発電)を含めて様々な分野に影響を及ぼす懸案事項である。本研究では、d4PDF(大規模アンサンブル気候シミュレーション)の地域気候予測データを用いて、気候変動が日本の淡水利用可能量(降水量と蒸発散量の差で定義)と連続無降水日数(降水量1mm未満で定義)に与える影響を調査した。その結果、日本のほとんどの地域・季節で、淡水利用可能量が減少し、連続無降水日数が増加することが示された。次に、自己組織化マップを夏季の大気循環場に適用することで気象場のクラスタリングを行い、現在および将来の気候シミュレーションにおける地上水収支と気象パターンとの関連を調べた。気候変動が日々の水収支に及ぼす影響は、気象パターンによって異なる傾向を示し、夏季に将来の淡水利用可能量が減少するのは、特定の気象パターンの下で乾燥状態が著しく増強されるためであった。また、温暖化条件下での気象パターンごとの降水量/蒸発量の変化(熱力学的効果)だけでなく、太平洋高気圧に関連した気象パターンの発生頻度の変化(力学的効果)も将来の水利用可能量の空間分布の変化に影響を及ぼしていた。気象パターン分類による解析の結果から、夏季における淡水利用可能量の変化において熱力学的効果は約80%、力学的効果は約20%を占めることが明らかになった。このような淡水利用可能量の空間的な将来変化の解析は、持続可能な水資源の活用を実現するための適応策を検討する上で有用であると考えられる。