日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS06] 気象学一般

2023年5月21日(日) 13:45 〜 15:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:那須野 智江(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、久保田 尚之(北海道大学)、佐藤 正樹(東京大学大気海洋研究所)、佐藤 薫(東京大学 大学院理学系研究科 地球惑星科学専攻)、座長:那須野 智江(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)、久保田 尚之(北海道大学)

14:30 〜 14:45

[AAS06-04] 大気圧観測プローブ観測における風速・風向の影響調査

*足立 尚哉1、杣谷 啓1近藤 文義2、内田 孝紀3 (1.大同大学、2.海上保安大学校、3.九州大学)

キーワード:CFD、大気圧変動、大気圧観測

地球温暖化への関心が高まるにつれて,その原因の一つとされる温室効果ガスの地球表面挙動の解明が求められるようになっている.その中でも人間の経済活動により急速に増加している二酸化炭素(CO2)の動態解明は急務とされている.CO2は地表の7割を占める海洋と大気の間で常に交換されており,その交換量(CO2フラックス)は大気中のCO2濃度の変動に影響を与える重要な要素として多くの観測が行われている. CO2フラックスは渦相関法と呼ばれる運動量・熱・各種フラックスを直接測定可能な手法によって評価される.その際,オープンパス型のガスアナライザが使用されることが多いが,オープンパス型のガスアナライザを使用した場合には補正により空気密度の変動の影響を取り除く必要がある.その補正方法としてはWebbらが提案したWPL補正が一般的に用いられている.しかしオープンパス型のガスアナライザを用いて大気とCO2交換が行われないはずのアスファルト面上のCO2フラックス計測を行った結果,有意なフラックスが観測されることが近藤らに報告され,WPL補正がCO2フラックスの過大評価を引き起こす可能性が浮上している.その原因の一つとして,WPL補正が大気圧変動の影響を無視している点が考えられ,その影響の検証が必要となっている.
大気圧変動の観測には風による動圧の影響を抑えるよう工夫がなされた大気圧観測プローブを用いて行う.しかし,その影響を完全に排除することは難しく,風速・風向により大きく精度が落ちることが問題となっている.そこで本研究では,大気圧観測プローブの風速・風向による大気圧観測への影響を風洞実験により明らかにすると同時にCFDによる数値解析を行うことで精度悪化の要因について考察する.