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[AAS07-12] ニトロ芳香族炭化水素類の野外観測と新規人為起源SOA トレーサーへの展開
★招待講演
キーワード:有機エアロゾル、有機トレーサー、ニトロ芳香族炭化水素
炭素質エアロゾル、中でも有機エアロゾル(OA)の変質過程や起源は複雑であり、その解明が大きな課題となっている。OAの生成過程や起源を知るためには、指標となる化学成分(トレーサー成分)の測定とそれを用いた解析が有効である。OAは二次OA(SOA)と一次OA(POA)に大別され、SOAはさらに人為起源SOA(ASOA)と植物起源SOA(BSOA)に分けられる。特にASOAは人為排出の多い都市大気において重要であり、健康影響の観点からPM2.5削減を考える上で生成機構や実態把握が求められている。しかし、その解析に有効な有機トレーサー成分は少なく、2,3-ジヒドロキシ-4-オキソペンタン酸(DHOPA)やフタル酸などに限られていた。一方で、チャンバー試験では、NOx 存在下でのトルエン由来SOA に、ニトロフェノール類などニトロ芳香族炭化水素類(NAHCs)が検出されていた。これらの成分はニトロ基を有するため、光を吸収する特性を持つ成分も多く、気候変動の観点からも重要である。そこで発表者は、ニトロフェノール類、ニトロサリチル酸類、ニトロカテコール類、ニトロナフトール類などNAHCs の多成分一斉分析法を開発し、フィルター捕集による野外観測からNAHCsの濃度実態、同時に測定した既存トレーサーとの比較によりNAHCsの起源解析を行ってきた。また、室内実験より得られたSOA試料を分析し、一部のNAHCs はNOx 存在下において重要な二次生成有機成分であることを確認した。これらの結果に基づいて、NAHCs の中からASOA の新規指標成分を提案した。本発表では、これまで行ってきた野外観測の取り組みとそこから得られた知見を中心に紹介する。