日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS10] 東アジアの異常天候・都市災害と気候変動との関わり

2023年5月21日(日) 15:30 〜 16:45 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:Masaru Inatsu(北海道大学大学院理学研究院)、日下 博幸(筑波大学)、竹見 哲也(京都大学防災研究所)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)

15:45 〜 16:00

[AAS10-02] 観測と数値モデルを用いた札幌市の暑熱環境評価

*鈴永 未希1稲津 將2佐藤 拓人3日下 博幸3 (1.北海道大学大学院理学院、2.北海道大学大学院理学研究院、3.筑波大学計算科学研究センター)


キーワード:暑熱環境、WBGT、観測、数値シミュレーション

近年,温暖化と都市化による暑熱環境の悪化と,それに伴う健康被害の増大が社会問題となっている.比較的冷涼な札幌市においても,急速な再開発が進んでいることから,今後暑熱環境は大きく変化していくと考えられる.
本研究の目的は,札幌市中心部において暑熱環境を調査し,その結果を数値気象モデルで再現すること,都市化と温暖化が進行した将来の暑熱環境評価を行うことである.そこで,札幌駅付近 1 km 圏内の領域で多地点の観測を実施し,都市街区気象モデルCity-LES[1]で観測の再現計算を行うことと,同モデルで2030年を目処に進められている再開発後を想定した数値実験を行うこととした.
札幌市で高温が記録された2022年7月29日と7月30日の2日間で観測を行った.暑さ指数(WBGT)を計算するため, 気温・湿度・黒球温度を札幌市中心部の5地点で観測を行った. 移動観測と定点観測の両方を行い, それらの結果を組み合わせることで, 観測地点の土地利用ごとの気温やWBGTの差異を観測した.
観測日の熱環境の再現実験を行ったところ,観測地点の局所性や観測誤差を考慮した上で気温やWBGTの地点間の差を概ね再現できたが,差の大きさを過小評価した.
2030年を想定した計算では,再開発に伴い建て替わった建物の周辺で,気温とWBGTが低下することが分かった.これについて,発表までに建物周辺における乱流輸送の観点から調査を行う予定である.

参考文献
1. Ikeda, R., Kusaka, H., Iizuka, S. and Boku, T. 2015. Development of urban meteorological LES model for thermal environment at city scale. In 9th International Conference for Urban Climate, Toulouse, France.