16:00 〜 16:15
[AAS10-03] 大規模風速場のもたらす竜巻進行方向の偏り
キーワード:竜巻
竜巻とは、積乱雲に伴って発生する激しい上昇気流の渦である。大気の状態が非常に不安定な時に発生し、短時間で狭い帯状の範囲に甚大な被害をもたらすが、その予測は難しく構造を含め未だ多くのことがわかっていない。特に日本では、台風等の災害に比べて被害が小さいために世間の関心が薄く、また目視の観測報告に頼っていることから、統計研究の数が少ない。人体や家屋への被害を最小限にするためには、竜巻の発生予測と進路予測が必要不可欠である。
Niino et al. (1997)によると、竜巻の進行方向の半数以上は北東方向に進んだことがわかっている。ただしこの進行方向の多くは目撃情報に基づいたデータであるために正確とは言えず、この研究内でも、16方位のうち8方位に回答の偏りがあることが指摘されている。そこで本研究では、移動が北東方向へ偏っていることから、積乱雲と共に風に流されていると仮定して、⻯巻発生時の大規模場の風向きと進行方向の関係について調査した。
まず初めに、発生地点と消滅地点の緯度経度から移動角度を計算して16方位に分け、目撃証言より正確な移動方向から統計をとった。その結果、発生地点からの移動が確認された竜巻の約7割が、北東方向に進行していた。先行研究と同期間、その後の期間の独立なデータで定性的な結果が変わらなかったので、北東方向への偏りはサンプリングバイアスではないと考えられる。発生年代や竜巻の大きさ、発生地域に関わらず6〜8割の竜巻が北東方向に進行しているが、なかでも東に偏っており、これは上空の偏西風ジェット気流に親雲が流されていることを示唆する。一方で、季節で分類するとDJFとMAMでは同様に東に偏りがあるが、JJAとSONの移動方向の分布には東以外に北への突出がある。ここでJJAとSONについて、台風に伴う竜巻のみについて統計をとると極端に北に偏っていた。その後、竜巻の進行方向と発生時の風向との相関を確認し、積乱雲と共に風に流されているという仮説と整合した。
Niino et al. (1997)によると、竜巻の進行方向の半数以上は北東方向に進んだことがわかっている。ただしこの進行方向の多くは目撃情報に基づいたデータであるために正確とは言えず、この研究内でも、16方位のうち8方位に回答の偏りがあることが指摘されている。そこで本研究では、移動が北東方向へ偏っていることから、積乱雲と共に風に流されていると仮定して、⻯巻発生時の大規模場の風向きと進行方向の関係について調査した。
まず初めに、発生地点と消滅地点の緯度経度から移動角度を計算して16方位に分け、目撃証言より正確な移動方向から統計をとった。その結果、発生地点からの移動が確認された竜巻の約7割が、北東方向に進行していた。先行研究と同期間、その後の期間の独立なデータで定性的な結果が変わらなかったので、北東方向への偏りはサンプリングバイアスではないと考えられる。発生年代や竜巻の大きさ、発生地域に関わらず6〜8割の竜巻が北東方向に進行しているが、なかでも東に偏っており、これは上空の偏西風ジェット気流に親雲が流されていることを示唆する。一方で、季節で分類するとDJFとMAMでは同様に東に偏りがあるが、JJAとSONの移動方向の分布には東以外に北への突出がある。ここでJJAとSONについて、台風に伴う竜巻のみについて統計をとると極端に北に偏っていた。その後、竜巻の進行方向と発生時の風向との相関を確認し、積乱雲と共に風に流されているという仮説と整合した。