10:45 〜 12:15
[AAS10-P02] 熱帯中緯度境界線および水温前線が偏西風ジェット気流の緯度に与える影響
キーワード:熱帯中緯度境界、水温前線、偏西風ジェット気流
熱帯と中緯度の大気では、それぞれ温度勾配が緩やかな弱温度勾配系と、コリオリ力と気圧傾度力がほぼ釣り合う準地衡風系という、異なる物理プロセスに大規模場が拘束されて存在している。この二つの異なる方程式系を同時に成り立たせるために、熱帯と中緯度の境界には空間スケールの小さい現象が必要となる。そこで本研究では、特に北半球において、熱帯と中緯度の境界における大気のふるまいを調べた。
まず、温度勾配の緩やかな熱帯領域の北縁として、500hPa面における5800 m高度線を熱帯中緯度境界線として定義した。次に、空間スケールの小さい渦を供給できる現象の候補として、中緯度で南北に上下する偏西風ジェット気流の強風軸の線に着目し、熱帯中緯度境界線との位置関係を調べた。
その結果、ジェット気流はほとんどの季節において熱帯中緯度境界線付近を流れる一方で、境界線付近に水温前線が存在する季節のみ、ジェット気流が水温前線上に引っ掛けられ、一時的に熱帯中緯度境界線を離れることが示された。ジェット気流が水温前線上を通る北半球の春や秋は、熱帯と中緯度の解をジェット気流以外の現象で接続するため、梅雨前線や秋雨前線等のメソスケール現象の存在が要求されている可能性が示唆される。
まず、温度勾配の緩やかな熱帯領域の北縁として、500hPa面における5800 m高度線を熱帯中緯度境界線として定義した。次に、空間スケールの小さい渦を供給できる現象の候補として、中緯度で南北に上下する偏西風ジェット気流の強風軸の線に着目し、熱帯中緯度境界線との位置関係を調べた。
その結果、ジェット気流はほとんどの季節において熱帯中緯度境界線付近を流れる一方で、境界線付近に水温前線が存在する季節のみ、ジェット気流が水温前線上に引っ掛けられ、一時的に熱帯中緯度境界線を離れることが示された。ジェット気流が水温前線上を通る北半球の春や秋は、熱帯と中緯度の解をジェット気流以外の現象で接続するため、梅雨前線や秋雨前線等のメソスケール現象の存在が要求されている可能性が示唆される。