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[ACC26-P08] 最終氷期最盛期の海面境界条件が全球気候モデルにおける大西洋子午面循環の再現に与える影響の評価
キーワード:大西洋子午面循環、最終氷期最盛期、全球海洋モデル、PMIP
地質学的データから、最終氷期最盛期(LGM: Last Glacial Maximum)においては大西洋子午面循環(AMOC: Atlantic Meridional Overturning Circulation)が現在より浅かったことが示唆されている。一方で、古気候モデリング相互比較プロジェクト(PMIP: Paleoclimate model Intercomparison Project)では多くのモデルが強く深いAMOCを示しており、またモデル間の差異も大きい。氷期気候がAMOCを変化させるメカニズムについては主に風応力や気温の変化の観点から研究されてきたが、それらは系統的に議論されてこなかった。
本研究では、氷期における海面境界条件の変化を熱的条件、風応力、淡水フラックスの3つに整理し、それらがAMOCに与える影響を相対的に評価することを目的として数値シミュレーションを行った。PMIPの様々なモデルの出力からLGMにおける海面境界条件の変化を取得し、熱的条件、風応力、淡水フラックスで分けて海洋大循環モデルに与えることで、それらがAMOCをどのように変化させるかをそれぞれ調べた。その結果、LGMの熱的条件はAMOCを弱化させ、風応力と淡水フラックスはAMOCを強化させる傾向にあったが、熱的条件と風応力については用いたPMIPのモデル出力の違いによってAMOCの強さに大きなばらつきが生じた。LGMの熱的条件は南極底層水の高密度化を通じてAMOCを弱める役割を果たしており、モデル間の南大洋の冷却度合いの差がAMOCの再現に大きく影響していた。風応力については、北大西洋高緯度における海氷輸送と中緯度における塩分輸送の両方を通じて深層水形成に影響を及ぼしAMOCを変化させていた。ただし、先行研究で注目されてきた氷期の偏西風強化との明確な関連は示唆されなかった。今回の研究は、気候モデルによるLGMのAMOC再現において気温や風応力といった海面境界のモデル間の差異が結果を大きく左右しうることを示している。
本研究では、氷期における海面境界条件の変化を熱的条件、風応力、淡水フラックスの3つに整理し、それらがAMOCに与える影響を相対的に評価することを目的として数値シミュレーションを行った。PMIPの様々なモデルの出力からLGMにおける海面境界条件の変化を取得し、熱的条件、風応力、淡水フラックスで分けて海洋大循環モデルに与えることで、それらがAMOCをどのように変化させるかをそれぞれ調べた。その結果、LGMの熱的条件はAMOCを弱化させ、風応力と淡水フラックスはAMOCを強化させる傾向にあったが、熱的条件と風応力については用いたPMIPのモデル出力の違いによってAMOCの強さに大きなばらつきが生じた。LGMの熱的条件は南極底層水の高密度化を通じてAMOCを弱める役割を果たしており、モデル間の南大洋の冷却度合いの差がAMOCの再現に大きく影響していた。風応力については、北大西洋高緯度における海氷輸送と中緯度における塩分輸送の両方を通じて深層水形成に影響を及ぼしAMOCを変化させていた。ただし、先行研究で注目されてきた氷期の偏西風強化との明確な関連は示唆されなかった。今回の研究は、気候モデルによるLGMのAMOC再現において気温や風応力といった海面境界のモデル間の差異が結果を大きく左右しうることを示している。