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[ACG30-P11] 境界流同期のもたらす夏季西カナダの気圧変動とその気象影響
キーワード:境界流同期、異常気象、テレコネクション、大気海洋相互作用
黒潮とメキシコ湾流は、大陸を挟んで約1万km離れている。しかし、上空の偏西風を介して海面水温が同期しており、boundary current synchronization; BCSと名付けられている。BCSは日本を含む北半球中緯度域の大都市圏に、猛暑などの異常気象をもたらすとされているが、そのメカニズムは詳しく調査されていない。そこで本研究では、BCS インデックスと関係の深い大気側の変動として「Circum-Western Canada(CWC)パターン」を定義することで、BCSが北半球中緯度域の異常気象に与える影響を調べる。BCSのz200回帰係数が強くBCSとの相関が強い基準領域を用いてCWCインデックスを定義する。経験的直交関数解析によれば、CWCパターンは北半球のうち西半分で卓越するモードである。また北極振動(AO)インデックスのz200回帰図とCWCインデックスのz200回帰図が似ていることから地表気圧で定義したAOインデックスとも関係があることがわかる。CWCインデックスの降水と2m気温の回帰図は、CWCが1994年7月と2018年7月と2022年7月の2m気温パターン、1994年7月と2018年7月の降水パターンを説明することを示す。また黒潮・メキシコ湾流の海面水温を別のコントロール実験に緩和したペースメーカー実験の結果から、CWCパターンはBCSによって能動的にもたらされている場合があることが示された。