日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG37] 衛星による地球環境観測

2023年5月26日(金) 09:00 〜 10:30 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)、座長:松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)

10:00 〜 10:15

[ACG37-05] ハイパースペクトルセンサHISUIを利用した二酸化炭素およびメタンガス小規模排出源の検知

*光原 奈美1、成田 龍彦1、武田 知己2 (1.株式会社地球科学総合研究所、2.一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構)

キーワード:HISUI(Hyperspectral Imager SUIte)、ハイパースペクトルセンサ、二酸化炭素、メタン、CO2 CIBR

温室効果ガス(以下、GHG)として認識されている二酸化炭素やメタンについて、その排出削減は世界共通の課題であり、また近年、排出源に対するモニタリングの需要が高まってきている。二酸化炭素の観測には、GOSAT-2(いぶき2)等のGHG観測技術衛星のデータを利用することができるが、その空間分解能は9.7kmであり、またメタンの観測に用いられるSentinel-5Pのデータについてもその空間分解能は7kmであることから、これらの衛星データを用いたGHG排出源の特定やモニタリングは困難である。これらのセンサに対して、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されているHISUI(Hyperspectral Imager SUIte)センサは20m×31mの高い空間分解能を有する。
 本研究では、HISUIデータを利用して、製鉄所等の大規模なGHG排出源と比較して排出量の少ない施設を対象に、二酸化炭素およびメタンガスの排出を示唆する特異点(アノマリ)の検知とその精度について検証するとともに、それらのアノマリとガス濃度の相関について検討した。ガスアノマリの検知には、多時期のHISUI観測データを用い、各種ガスの吸収帯を観測しているバンドを複数組み合わせたインデックスを作成して、ガス濃度がバックグラウンドよりも相対的に高くなるアノマリを導出する手法を開発した。アノマリが認められる施設を対象に、環境省が温室効果ガス排出量の算定・報告・公表制度により公開している同施設(特定事業所排出者)のガス排出量データ等と比較し、その妥当性とHISUIセンサの二酸化炭素およびメタンガス検出限界値について考察した。