日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG37] 衛星による地球環境観測

2023年5月26日(金) 13:45 〜 15:00 104 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)、座長:久保田 拓志(宇宙航空研究開発機構 地球観測研究センター)

13:45 〜 14:00

[ACG37-13] 南極昭和基地上空の対流圏最下層における降水強度の鉛直分布

★招待講演

*平沢 尚彦1,2、小西 啓之3、藤吉 康志4、岩本 勉之5 (1.国立極地研究所、2.総合研究大学院大学、3.大阪教育大学、4.北海道大学名誉教授、5.北海道紋別市役所水産課)

キーワード:南極、降水、レーダー、衛星、昭和基地

IPCC2019の報告では、1990年代から南極氷床の質量が減少し始め、その量は6mmの海水準上昇に匹敵すると見積もられた。今後の温暖化の進行に伴って南極氷床から海洋に移動する質量は増加する可能性がある。南極氷床の質量収支はその上に降る降水と縁辺部から海洋に流出する氷によって主に決まる。信頼に足る将来の予測を実現するためにはこれらの入力と出力の量を決めるメカニズムを把握する必要がある。この研究では入力に当たる降水量を把握し、その変動を支配するメカニズムの理解を目的とする。人工衛星観測は広大な南極の降水量を把握するために大変有力であり、全域の年間降水量を提示する研究が既に行われている。しかし、衛星から推定される降水量はかなり大幅な修正を必要とすることも同時に指摘されている。その一つは対流圏最下部における観測の困難さに起因して、地上降水量が求められていないことである。本発表では南極昭和基地の地上設置型のレーダー観測値を用いて対流圏最下層の降水強度の特徴を調べ、衛星観測データの改善の可能性を議論する。