14:15 〜 14:30
[ACG37-15] GSMaP雲移動ベクトルと降水クラスターの個別トラッキング手法の比較検証
キーワード:衛星観測、降水推定、降水トラッキング
全球衛星降水マップ(GSMaP)はPMW観測網の隙間を補間するため,MVKと呼ばれるアルゴリズムを用いて前後時間にPMW衛星が観測した降水雲の移動先を追跡している(Ushio et al. 2009)。MVKは静止気象衛星の連続した赤外画像観測を用いて雲移動ベクトルを計算しているため,上層雲の被覆率の高い熱帯域では周辺の中下の降水を上層雲の移動方向に誤って動かしてしまう場合がある。ForTraCC(Villa et al. 2008)は個々の降水クラスターを個別にトラッキングする手法である.ForTraCCは各降水クラスターの疑似的な重心位置を計算し,その移動先を過去の移動履歴から予測している.そのため上層雲にあまり左右されることなく中下層の降水をトラッキング可能である.本研究ではこのForTraCCを用いてGSMaPの雲移動ベクトルを改良するために,熱帯域におけるGSMaP雲移動ベクトルとForTraCCの降水トラッキング性能の比較検証を行った.
GSMaP_MVKとForTraCCとで1時間後の降水雲の移動先を計算し,PMW観測を真値として降水トラッキング性能を比較した.その結果,熱帯域の特に浅い降水に対してはForTraCCの方が精度高いことがわかった.一方でForTraCCは降水強度の時間変化を考慮しないため,RMSEで見るとGSMaP_MVKの方が精度が高かった.またForTraCCの重心位置移動ベクトルを用いてGSMaPの雲移動ベクトルを補正した結果,特に熱帯域の浅い降水に対してGSMaP_MVKのトラッキング精度が向上するという結果が得られた.
GSMaP_MVKとForTraCCとで1時間後の降水雲の移動先を計算し,PMW観測を真値として降水トラッキング性能を比較した.その結果,熱帯域の特に浅い降水に対してはForTraCCの方が精度高いことがわかった.一方でForTraCCは降水強度の時間変化を考慮しないため,RMSEで見るとGSMaP_MVKの方が精度が高かった.またForTraCCの重心位置移動ベクトルを用いてGSMaPの雲移動ベクトルを補正した結果,特に熱帯域の浅い降水に対してGSMaP_MVKのトラッキング精度が向上するという結果が得られた.