日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG37] 衛星による地球環境観測

2023年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 オンラインポスターZoom会場 (4) (オンラインポスター)

コンビーナ:沖 理子(宇宙航空研究開発機構)、本多 嘉明(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、高薮 縁(東京大学 大気海洋研究所)、松永 恒雄(国立環境研究所地球環境研究センター/衛星観測センター)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/26 17:15-18:45)

09:00 〜 10:30

[ACG37-P22] 大気環境を考慮した日本周辺における夜空の明度の定量的な評価

*佐野 繭姫1岩渕 弘信1 (1.東北大学大学院理学研究科)


キーワード:光害、夜空、明度、エアロゾル

1.はじめに
近年日本では、都市に人口が集中し、様々な問題が起こる都市化問題が課題になっている。「光害」もその一つであり、日本の人口の約70%の人は天の川が見えない地域に住んでおり、世界的にみても人工光に照らされた地表の面積は毎年約2%拡大している。
夜間の無駄な照明が動物と植物、そして世界を結びつけている生態学的関係を大きく混乱させている事が明らかになっており、そうした影響は都市から遠く離れた場所にまで及ぶ。生態系においては過去の研究から少なくともし自然界の160種の生物に対して人工光がタイミング外れのさまざまなシグナルを送っていることを示す十分な証拠が得られている。
そういった状況の中で日本において光害に関する研究は多くない。本研究では光害を定量的に評価するための数理モデルを構築し、大気環境と夜空の明度の関係について明らかにした。
2.衛星データ
期間:2021/01/01-2021/12/31
範囲:仙台市を含む、東経140-142度、北緯37-39度
計算に使用した衛星データ:
1.VIIRS/ VNP46A2; 放射輝度
2.MODIS/MOD09CMG; 地表面アルベド
3.MERRA2_tavg1_2d_aer_Nx; 散乱係数, 消散係数
3.方法
大気を平行平板とみなし、上向き及び下向きの放射場をそれぞれ等方的と仮定する。入力データとして地上から大気上端へ放出した都市の放射輝度と大気中のエアロゾル、地表面反射率の値を用い、放射伝達の二流近似法により下向きの放射輝度を計算することで、夜空の明度のシミュレーションを行う。
4.結果
エアロゾルの光学的厚さ(AOD)によって仙台市周辺の夜空の明るさの変化についてシミュレーションを行った。2021年の年間平均の都市の放射輝度とエアロゾル(陸性、海洋性を含む)の平均的な係数を用いてAODと夜空の明度の関係を明らかにした。
解析した地域の2021年の日平均AODがの最大・最小となる二日における夜空の明度の分布を分析すると、これらの二日において夜空の明度は約10倍大きいことが分かった。また、AODに対する夜空の明度の関係を計算することで、夜空の明度を定量的に評価することができた。