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[ACG38-11] 成層圏突然昇温に先行する解析アンサンブルスプレッドの前駆シグナル
キーワード:成層圏突然昇温、アンサンブルカルマンフィルター、大気再解析
実験的全球アンサンブル再解析 ALERA (AFES-LETKF experimental ensemble reanalysis) における,成層圏突然昇温時の解析スプレッドの振る舞いについて調査した.成層圏を 解像する鉛直層数を有する再解析システムを用いて,2018 年 12 月–2018年12月〜2019年1月と 2019年8月〜2019年9月の間に両半球で発生した2つの成層圏突然昇温現象(SSW)に対するアンサンブルスプレッドの振る舞いを調査した.SSWが発生する約1週間前の間にアンサンブルスプレッドが極大となるシグナルが見られた.このシグナルは成層圏上・中部でのみ顕著で,下部成層圏や上部成層圏では見られなかった.このスプレッドのシグナルに関係して,再解析システム内での解析インクリメントが,予報による修正に匹敵するオーダーとなっていた.このことから,解析スプレッドに前駆 的に現れるシグナルは成層圏突然昇温を再現するための解析場のアップデートを促進するように働いていた.解析アンサンブル摂動場のジオポテンシャル高度場についての主成分分析によって,シグナルが成層圏で等価順圧的な構造と,解析アンサンブル平均場の分布に対して東西に 90°位相がずれた構造を持っていることがわかった.さらに,順圧不安定の 必要条件である渦位あるいは絶対渦度の南北勾配の逆転が中~上部成層圏で見られた.この構造の特徴から,解析アンサンブル摂動(スプレッド)場に現れるシグナルは成層圏内部での順圧不安定に起因することが示唆された.