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[ACG40-10] 物理・生態系結合モデルを利用したケンサキイカの時空間分布予測
キーワード:Habitat Suitability Indexモデル、低次生態系モデル、ケンサキイカ、海洋データ同化モデル
ケンサキイカは,九州北西地域では活き造りとして利用されるなどこの地域において経済的に重要な魚種である.しかしながら,日本海南西部から東シナ海における本種の年間総漁獲量は過去30年間で80%以上減少している.本種の時空間分布を把握し予測することを目的として,九州北西海域において鉛直1次元の物理・生態系結合(NPZD)モデルとHabitat Suitability Index(HSI)モデルを構築した.HSIモデルの環境変数として,NPZDモデル予測値(植物プランクトンもしくは動物プランクトン濃度)を加える場合と加えない場合(海洋物理的情報のみ)の3つ比較実験を実施した.その結果,NPZDモデル予測値のうち動物プランクトン濃度をHSIモデルの環境変数として利用することで,九州北西海域におけるケンサキイカの時空間分布予測の精度が向上することが明らかとなった.したがって,本研究により動物プランクトン濃度のような低次生態系モデルを利用することで時空間分布予測モデルの精度が向上することが示された.さらに,本研究の結果は,ケンサキイカの資源の保全と管理,そして効率的な漁業にも有意義である.