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[ACG40-P02] 大阪湾・東京湾・伊勢湾における溶存有機物の分解特性
キーワード:沿岸域、有色溶存有機物、流出フラックス、易分解性溶存有機物
陸起源物質の沿岸海域内での動態は複雑であり,それが沿岸海域を経由して沖合まで輸送される過程を定量化するにあたっては多くの課題がある.本研究では腐植物質を主成分とする有色溶存有機物をトレーサーとして用いて陸起源物質の沖合への流出経路を明らかにし,沿岸海域における陸起源物質の収支を求めていくために,河川水および海水に含まれる溶存有機物の分解特性を調べ,その結果に基づいて試料の処理方法を決めることを目的とする.
2022年9,10,11月に,大阪湾,東京湾,伊勢湾の合計21地点,各湾に流入する計9河川の表層水,下水処理水1地点を採取した.各サンプルは4セットずつ取得して,船上濾過, 冷蔵保存し下船後濾過,冷蔵保存し24時間後に濾過,採水時水温に設定した恒温器内に置き48時間後に濾過の4通りの処理を行なった.得られたサンプルの溶存有機態炭素(DOC)および443 nmにおける有色溶存有機物光吸収係数ay(443)を算出した(以下,CDOM).
伊勢湾と大阪湾では、下船後濾過、冷蔵発送後濾過の値と船上濾過の値との違いは数%以下であり、濾過のタイミングの影響は小さいと考えられた.常温48時間後濾過の値と船上濾過の値との違いも同様であり,易分解のDOC,CDOMが比較的少なかったと考えられた.
東京湾では、下船後濾過、冷蔵発送後濾過の場合は船上濾過に比べて値が20~50%増加し、濾過のタイミングの影響が大きかった.一方常温48時間後濾過では船上濾過の値に比べて5~20%の増加となっており,一度増加したDOC, CDOMは易分解性でありそれらが分解されたと考えられたが,易分解性の画分の影響がなくなる時間数についてはさらに検討する必要がある.河川水、下水処理水では易分解性の画分がほぼなく,増加したDOC,CDOMは海域由来の成分である可能性が高い.
以上の結果と,いずれの海域においても塩分とCDOMは負の相関を示すことから,その関係を用いて陸起源物質の沖合への流出経路を明らかにすることができると考えられた.溶存有機物の指標として用いるDOCについては,塩分との関係から汽水域において海域由来の画分が増加することが示唆されたため,河川側エンドメンバー,外洋側エンドメンバーを各季節に測定し,陸起源の割合を算定することが必要と考えられる.
2022年9,10,11月に,大阪湾,東京湾,伊勢湾の合計21地点,各湾に流入する計9河川の表層水,下水処理水1地点を採取した.各サンプルは4セットずつ取得して,船上濾過, 冷蔵保存し下船後濾過,冷蔵保存し24時間後に濾過,採水時水温に設定した恒温器内に置き48時間後に濾過の4通りの処理を行なった.得られたサンプルの溶存有機態炭素(DOC)および443 nmにおける有色溶存有機物光吸収係数ay(443)を算出した(以下,CDOM).
伊勢湾と大阪湾では、下船後濾過、冷蔵発送後濾過の値と船上濾過の値との違いは数%以下であり、濾過のタイミングの影響は小さいと考えられた.常温48時間後濾過の値と船上濾過の値との違いも同様であり,易分解のDOC,CDOMが比較的少なかったと考えられた.
東京湾では、下船後濾過、冷蔵発送後濾過の場合は船上濾過に比べて値が20~50%増加し、濾過のタイミングの影響が大きかった.一方常温48時間後濾過では船上濾過の値に比べて5~20%の増加となっており,一度増加したDOC, CDOMは易分解性でありそれらが分解されたと考えられたが,易分解性の画分の影響がなくなる時間数についてはさらに検討する必要がある.河川水、下水処理水では易分解性の画分がほぼなく,増加したDOC,CDOMは海域由来の成分である可能性が高い.
以上の結果と,いずれの海域においても塩分とCDOMは負の相関を示すことから,その関係を用いて陸起源物質の沖合への流出経路を明らかにすることができると考えられた.溶存有機物の指標として用いるDOCについては,塩分との関係から汽水域において海域由来の画分が増加することが示唆されたため,河川側エンドメンバー,外洋側エンドメンバーを各季節に測定し,陸起源の割合を算定することが必要と考えられる.