10:45 〜 12:15
[ACG40-P05] 東京湾に流入する河川間の栄養塩濃度・構成比の違いとその要因の解析
1979年以降の水質総量規制により国内の内湾における水質は改善されてきているが,東京湾奥部では未だに赤潮が発生しており,そのメカニズムの把握は不可欠である。栄養塩の濃度や構成比が植物プランクトンの増殖速度やバイオマス量,優占種に影響することが知られているが,公共機関による代表的河川・沿岸域での水質調査では,ケイ酸塩(DSi)をはじめとした多くの栄養塩データが欠損しているほか,低濃度試料の分析精度が悪い。そこで本研究では,DSiを含む栄養塩調査,および地下水流入,陽・陰イオン,蛍光性溶存有機物(FDOM)の調査などを荒川,隅田川,多摩川,江戸川,中川の5河川において行った。そして,その河川毎の栄養塩濃度と構成比,河川毎の特色の違いを明らかにし,その違いの要因を解析することで,東京湾奥部の生態系変動への寄与を考察した。
分析の結果,荒川・隅田川・多摩川では,河口域に向けて栄養塩濃度の顕著な上昇やFDOM濃度の増加がみられた。これらのことから,この三河川は下水処理排水の影響を多分に受け,栄養塩濃度が上昇し,河口部における藻類繁茂に寄与していることが分かった。利根川水系である江戸川・中川では上流部から高いDSi濃度を示したほか,溶存無機態窒素とDSiの比においてもDSiが割合的にも多い河川水であることが判明した。これは利根川流域の地質を反映したものであり,東京湾での珪藻類繁茂への寄与が考えられた。
分析の結果,荒川・隅田川・多摩川では,河口域に向けて栄養塩濃度の顕著な上昇やFDOM濃度の増加がみられた。これらのことから,この三河川は下水処理排水の影響を多分に受け,栄養塩濃度が上昇し,河口部における藻類繁茂に寄与していることが分かった。利根川水系である江戸川・中川では上流部から高いDSi濃度を示したほか,溶存無機態窒素とDSiの比においてもDSiが割合的にも多い河川水であることが判明した。これは利根川流域の地質を反映したものであり,東京湾での珪藻類繁茂への寄与が考えられた。