日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG41] 沿岸海洋生態系-2.サンゴ礁・藻場・マングローブ

2023年5月26日(金) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (2) (オンラインポスター)

コンビーナ:梅澤 有(東京農工大学)、樋口 富彦(東京大学大気海洋研究所)、中村 隆志(東京工業大学 環境・社会理工学院)、渡辺 謙太(港湾空港技術研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/25 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[ACG41-P04] 亜熱帯海域における海草藻場の栄養塩吸収・放出特性の評価

*鈴木 健斗1梅澤 有1、栗原 晴子2、鈴木 陽樹2、ライラ 笑太2宮島 利宏3 (1.東京農工大学、2.琉球大学、3.東京大学)

温暖化と様々な直接的人為影響により、熱帯・亜熱帯の浅海域に生息するサンゴ群集の衰退が報告されている。一方、サンゴ礁の陸域側では海草藻場やマングローブ林などが、高濃度の栄養塩や懸濁物を吸収・捕捉したり、分解した有機物を再び栄養塩として放出したりすることで、沖側に広がるサンゴ群集への汚染負荷を低減し良好な環境を提供することが期待されるが、定量的な知見が不足している。本研究では地下水流入の影響や天候、底生区分の違いなどを考慮した上で栄養塩濃度の時空間変化を観測し、水中―堆積物境界面での栄養塩フラックスの評価を行うことを目的とした。
2022年9月13日から25日にかけて沖縄県備瀬海岸にて、移動する水塊を追跡して採水し、塩分やDO、栄養塩等の溶存物質の時空間的変化を調べる「流れ法」によって、リュウキュウスガモ(Thalassia hemprichii)が優先する海草域と、海草やサンゴ、海藻が生息する混生域に分けて調査を行った。栄養塩濃度変化のうちの水中―堆積物境界面でのフラックスを算出した。このフラックスを底生植生の違いやDO濃度などの条件別に考察した。
 水中―堆積物境界面での栄養塩フラックスは、正の値(放出)と負の値(吸収)で大きな変動を見せた。しかしながら、境界面での栄養塩の放出と吸収およびその大きさと、変化、地下水流入の有無や底生区分などの条件の間には明確な関連性がみられなかった。フラックス計算を行うにあたり光合成速度と栄養塩取り込み速度の非連動性(タイムラグ)、従属栄養生物の呼吸活性の温度依存性、地下水中栄養塩濃度の時空間的変化などの誤差要因が影響していることが推察された。炭酸系のデータも含めた栄養塩フラックス解析の結果と考察は当日に発表する。