日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG42] 陸域から沿岸域における水・土砂動態

2023年5月23日(火) 10:45 〜 12:00 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:有働 恵子(東北大学大学院工学研究科)、浅野 友子(東京大学)、木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)、座長:浅野 友子(東京大学)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)

11:45 〜 12:00

[ACG42-10] 福島事故由来のCs-137を用いた農地除染により流域から河川を通じて海洋に流出する細粒土砂の変化

★招待講演

*恩田 裕一1、フェン ビン2谷口 圭輔3脇山 義史4橋本 朝陽1、張 ウパン1 (1.筑波大学アイソトープ環境動態研究センター、2.ウイーン工科大学、3.津山高専、4.福島大学環境放射能研究所)

キーワード:セシウム、浮遊砂、農地除染

政府による農地除染は、福島地域の放射線リスク低減とフォールアウト137Cs汚染土壌の回収という点で意義があるが、大規模除染地域の土地利用変化による下流への長期的影響は不明なままであった。本論文では、政府の除染データ、高解像度衛星画像、河川モニタリング結果を組み合わせることで、2013年から2018年にかけての除染の影響について初めて包括的に評価しました。その結果、除染期間中に地域の侵食性が急激に上昇し、その後の自然回復期には急激に低下することがわかった。河川のSS動態はこの侵食性の変化に対して良い応答を示し、下流の正規化SS負荷は除染の終了までに〜240%増加した。除染領域からの137Csを含まない堆積物の寄与は除染とともに徐々に増加し(最大71%)、粒子状137Cs濃度の急速な減少を引き起こした。除染後、除染地域の急速な植生回復により集水域の土砂量は減少し、下流の土砂源組成は変化したが、上記の変動の複合効果により、下流の規格化137Csフラックスはほぼ一定であった。この結果は、強い擾乱によって引き起こされた土地利用の変化が陸域-海洋間の土砂移動パターンに与える影響と、その下流域における影響をを総合的に評価する必要性をが示唆された。