日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG42] 陸域から沿岸域における水・土砂動態

2023年5月24日(水) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (8) (オンラインポスター)

コンビーナ:有働 恵子(東北大学大学院工学研究科)、浅野 友子(東京大学)、木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)、山崎 大(東京大学生産技術研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/23 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[ACG42-P01] 河川水の流出過程に汽水湖が与える影響

*木田 新一郎1田中 潔2伊佐田 智規3中村 知裕4 (1.九州大学・応用力学研究所、2.東京大学・大気海洋研究所、3.北海道大学・厚岸臨海実験所、4.北海道大学・低温科学研究所)

キーワード:河川流出、沿岸、汽水湖

河川から海洋への淡水流出は、河川プリュームの概念を中心にその理解が進んできた。しかし、コリオリ力の影響を受けにくい小規模河川では潮汐によって流れが大きく時間変化する。また河口と海洋の間には河川幅より大きい汽水湖が存在することも多い。これまでの河川水の流出過程に関する数値研究の多くは直線的な河川軸をもった河川を想定してきたため、小規模河川に対する汽水湖の役割が不明なままである。そこで本研究では汽水湖によって河川プリュームの力学過程とその水塊特性がどのように変化するのか、理想モデルを構築して検証した。
数値モデルからは、汽水湖と海洋の間に位置する海峡を境に河川水と海水が潮汐にあわせてパルスのようなプルームを形成しながら流出入する流れ場が再現された。淡水のプルームは下げ潮後半から上げ潮前半の間に海洋で形成され、海水のプルームは上げ潮後半から下げ潮前半まで汽水湖の中で形成される。これらのプルームの強さは汽水湖の面積が決めており、汽水湖が浅いことで海水のプルームはBarotropicな流れかつ鉛直一様に混合した水塊として汽水湖に侵入するようになる。もし汽水湖が深いと海水のプルームは形成されず、汽水湖には二層構造をもった流れとなる。大きく・浅い汽水湖が河口に存在すると、汽水湖では古典的なエスチュアリー循環はされず、河川から海洋への流出は淡水・海水プルームがつくる擾乱成分を通じて起きるようになることが明らかになった。