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[ACG43-03] 黒潮大蛇行に対する冬季の大気応答についての数値実験
キーワード:黒潮、大気海洋相互作用
黒潮大蛇行に伴い、紀伊半島沖で冷水渦が発生し海面水温が低下し、その北側の東海地方沿岸では海面水温は上昇する.本研究では黒潮大蛇行に伴うこの海面水温分布の変化に対する冬季の大気の平均場の応答について調査するため、領域大気モデルを用いて現実の海面水温を用いた標準実験と、海面水温の境界条件を大蛇行時・非大蛇行時のものにそれぞれ強制的に変更した感度実験を行った.この感度実験の結果、大蛇行期には冷水渦直上において高気圧偏差が生じ海面風発散が、その北側と南側では反対に海面風収束が発生する.この冷水渦上の高気圧偏差は過去の研究でも報告されており、大気が冷却されることによる圧力調整メカニズムで説明される。興味深いことに、海面風の偏差は関東沿岸まで続いており、大蛇行期には北風偏差が生じている。この北風偏差は海上から950hPa付近まで見られ、東海地方沿岸の正の海面水温偏差へ吹き込むように存在する。この北風偏差は直下に海面水温偏差を伴っておらず、圧力調整メカニズムでは説明できない。同様の東海地方沿岸の正の海面水温偏差へ吹き込む下層風は大気再解析データであるERA5でも見られた。また、大蛇行期には冷水渦上で降水が減少していた.これは大蛇行期に冷水渦上で高気圧偏差となることで下降流偏差が生じていることと整合的である.一方、その北側の東海地方沿岸から関東沿岸にかけては降水の有意な変化は見られないが、降水の頻度は有意に増加していた。これは上述の北風偏差が影響している可能性がある.