10:00 〜 10:15
[ACG43-05] 黒潮大蛇行時における黒潮続流第一の峰の北偏とサンマの漁場位置の変化
★招待講演
キーワード:黒潮続流、サンマ、黒潮大蛇行、AI、海洋数値モデル
2017年8月の黒潮大蛇行発生前(2015年1月~2017年7月)と発生後(2017年8月~2022年11月)の黒潮続流第一の峰の北限を調べると、発生前と比較して発生後は数度北上していることが分かった。さらに2019年以降、年々北限が北上傾向を示している。2019年の北限は北緯36.5度付近であったが、2022年11月は北緯38.5度付近である。川合(1989, 水産海洋研究)は、海洋観測データを用いて、1933年から1989年までの黒潮続流第一の峰の北限を調査し、経年変動が著しく、黒潮大蛇行が北緯39度に達するような顕著な北偏を引き起こす要因であることを示唆した。また、Sugimoto and Hanawa (2012, J Oceanogr.)は、衛星海面高度計の観測値を使って1993年1月から2008年12月までの黒潮と黒潮続流の流路の関係を調査し、大蛇行流路時の黒潮続流第一の峰の北限は、非大蛇行接岸流路時と比較して、平均でおよそ1度北偏していることを示した。これらの過去の知見は、今回の事例と整合的である。
全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2022年のサンマの漁獲量は17,910トンで過去最低だった。サンマの漁獲量は2010年から減少傾向が始まったが、特に2019年に初めて5万トンを下回って以降、下降の一途をたどっている。サンマの漁獲量減少は、漁獲圧などの資源量低下や海況の変化など様々な要因が絡みあい、端的には説明できないが、東北沿岸、北海道南部沿岸の水温上昇により、親潮第一分枝が弱化してサンマが日本沿岸を南下しにくくなったことも要因の一つと考えられる(渡邉, JAFICテクニカルレビュー投稿予定)。
親潮第一分枝の弱化の要因と考えられる日本近海の極端な海面水温上昇は近年、海洋熱波として注目されているが、海洋熱波が発生する要因は、気象現象や暖水渦など様々考えられている(Miyama et al. 2021, Front. Mar. Sci., Kuroda and Setou 2021, Remote Sens.)。しかしながら、日本沿岸における重要な熱源である黒潮の影響の議論は不十分と思われる。
本研究では、黒潮流路変動と黒潮続流第一の峰の北限変化の関係を切り口に、サンマの漁場位置の変化を発表する予定である。また、一般社団法人漁業情報サービスセンター(JAFIC)が2022年から始めた海洋数値モデルを用いたサンマAI漁場予測(矢吹 2022, JAFICテクニカルレビュー)の紹介を行う。
全国さんま棒受網漁業協同組合によると、2022年のサンマの漁獲量は17,910トンで過去最低だった。サンマの漁獲量は2010年から減少傾向が始まったが、特に2019年に初めて5万トンを下回って以降、下降の一途をたどっている。サンマの漁獲量減少は、漁獲圧などの資源量低下や海況の変化など様々な要因が絡みあい、端的には説明できないが、東北沿岸、北海道南部沿岸の水温上昇により、親潮第一分枝が弱化してサンマが日本沿岸を南下しにくくなったことも要因の一つと考えられる(渡邉, JAFICテクニカルレビュー投稿予定)。
親潮第一分枝の弱化の要因と考えられる日本近海の極端な海面水温上昇は近年、海洋熱波として注目されているが、海洋熱波が発生する要因は、気象現象や暖水渦など様々考えられている(Miyama et al. 2021, Front. Mar. Sci., Kuroda and Setou 2021, Remote Sens.)。しかしながら、日本沿岸における重要な熱源である黒潮の影響の議論は不十分と思われる。
本研究では、黒潮流路変動と黒潮続流第一の峰の北限変化の関係を切り口に、サンマの漁場位置の変化を発表する予定である。また、一般社団法人漁業情報サービスセンター(JAFIC)が2022年から始めた海洋数値モデルを用いたサンマAI漁場予測(矢吹 2022, JAFICテクニカルレビュー)の紹介を行う。