日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG43] 黒潮大蛇行

2023年5月22日(月) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (5) (オンラインポスター)

コンビーナ:西川 はつみ(東京大学 大気海洋研究所)、平田 英隆(立正大学)、美山 透(国立研究開発法人海洋研究開発機構・アプリケーションラボ)、日下 彰(国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所 )


現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[ACG43-P04] 2022年台風第15号の降水に対する黒潮大蛇行に伴う東海沖沿岸昇温の影響

*高木 彩1杉本 周作1 (1.東北大学大学院理学研究科)


キーワード:台風、黒潮大蛇行、沿岸昇温、水蒸気フラックス

2022年9月21日(日本時)に発生し東海・関東地方に接近した台風第15号は, もっとも発達した際にも中心気圧が1000hPa, 最大風速が18m/s程度と勢力は強くなかったにも関わらず静岡県を中心に9月23日夜から24日朝にかけて記録的な大雨をもたらした. なかでも静岡市周辺では猛烈な雨が降り、12時間で404.5ミリを記録し、観測史上1位を記録した。このとき、黒潮大蛇行の影響で、東海沖の沿岸水温は例年より2度以上も上昇していた。それゆえに、本台風の降水への黒潮大蛇行の影響が期待される。
気象庁メソ数値予法モデル解析値をもとに水蒸気フラックスを見積もったところ、東海地方での降水開始前に南方海域からの水蒸気の流入が観察され、とくに沿岸昇温域上でその値が増加することがわかった。そこで、沿岸昇温の影響を評価するために、非静力学領域気象モデル(WRF)を用い、東海沖沿岸昇温を含めた海面水温による実験(昇温実験)と、その影響を除去した非昇温実験を行った。その結果、昇温実験と非昇温実験間で各時刻における台風の中心気圧に差はほとんどないことがわかった。そして、降水量は、昇温実験の方が東海地方、とくに静岡市周辺で顕著に増加しており、非昇温実験に比べて約75%も増大していることが明らかになった。そこで、大気下層での水蒸気フラックスを比較した結果、東海沖からの流入量の増加が見出され、海面水温上昇の影響を示唆する結果を得た。発表では、地形の影響も検討しながら両実験間での物理構造の違いについても言及する。