日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG44] 全球海洋観測システムの現状と将来:自動観測と船舶観測の可換性

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:00 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:細田 滋毅(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、桂 将太(東京大学大気海洋研究所)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)、増田 周平(海洋研究開発機構)、座長:細田 滋毅(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、桂 将太(カリフォルニア大学サンディエゴ校スクリプス海洋研究所)、増田 周平(海洋研究開発機構)、藤井 陽介(気象庁気象研究所)

11:35 〜 11:50

[ACG44-04] 海洋観測の広域化・自動化と船舶観測の重要性:海洋観測システムの今後(総合討論)

*細田 滋毅1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:海洋観測、将来的な統合観測システム、観測プラットフォーム

海洋観測は、近年の高解像度数値モデルを用いた解析や予測が進む中でも、海洋内部の実態を把握する上で必要不可欠である。海洋上層の水温、塩分を計測する全球海洋観測網として既にArgoが稼働する中、今後他のパラメータについても自動観測を主体とした海洋観測システムに移行することが予想される。一方で、採水や精密測定を必要とする物理的微細構造・化学パラメータなどに関して、船舶観測以外には現時点では考えにくい。そのような状況下で、近年の燃油高騰や人的物的リソースの減少、国内外の環境や情勢の変化に伴い、船舶観測自体の実施が難しくなってきている。
自動観測と船舶観測、それぞれ長所短所がある。他の観測プラットフォームも合わせて、その長所を生かして共存しつつ総合的に観測を展開する、統合観測プラットフォームを発展させていくべきである、と考える向きは多い。限りあるリソースの中で、海洋科学や科学技術の今後の発展を考慮しつつ、将来的に自動観測と船舶観測にどの程度注力していくのか、バランスをとっていくのか検討する必要がある。
Argoをはじめとする自動海洋観測システムは、より高密度、多変量を目指す方向に進んでおり、特に欧米での進展が著しい。これらの状況に関する情報を共有し、現在の観測システムの相補性、独自性をレビューしつつ、ベテランだけでなく若手研究者も交えて海洋観測のあり方を議論したい。