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[ACG46-08] 複数解像度大気海洋結合実験による北極大気の予測と低気圧発達の関係
キーワード:低気圧、大気海洋結合実験、モデル解像度
本研究では、複数解像度の大気海洋結合システムによって大気海洋結合過程が北極の天気予報に与える影響について調査した。気象研究所地球システムモデル(MRI-ESM2)を用いて2018年9月の30日間の00UTCを初期値とする11日予報を行い、高・低解像度大気モデルと高・低解像度海洋モデルそれぞれの結合実験(HiHi、HiLo, LoHi, LoLo)の4種類の結合実験を解析した。
北極域(60度以北)の海面更正気圧の予測精度は、HiHiとHiLoの違いの方がLoHiとLoLoの違いより大きく、同等のモデル解像度が結合過程の表現に必要であることを示唆した(図1a-c、e-g)。北大西洋上で低気圧が発生し、北極域に進入した事例である2018年9月17日初期日の実験で、HiHiの改善がHiLoより大きかった(図1f, h)。SLPの予測差は低気圧の位置の予測と関連していた。HiHiとHiLoの予測の違いは、Gulf Stream続流域周辺の地上風と地上気温の差から発達しており、それらは鉛直混合メカニズムと圧力調節メカニズムが影響していると考えられる。HiHi実験では、これらのメカニズムによって24時間と48時間の予測時間で続流域周辺において下層PVを発生させ、このPVは英国北西の低気圧と併合し、低気圧およびそれに伴う温暖・寒冷前線の位置の違いをもたらした。これらの結果は、細かいSSTの表現に伴って引き起こされる対流圏の下層の風や気温の違いが、7日予測における低気圧の位置の違いにつながっていることを示している。この結果は、これまで統計的に調べられてきた海洋前線のストームトラックへの影響を特定の低気圧で詳細に調べた事例である。また、中緯度海洋の違いが低気圧を通じて北極海の海面水温や海氷まで影響をもたらす事例であり、大気海洋結合予測の有用性を示すものである。一方、海洋高解像度化は常に北極大気を改善するわけではないため、大気海洋相互作用がどのような場合に北極大気の予報を改善するかについてはさらに調べる必要がある。
北極域(60度以北)の海面更正気圧の予測精度は、HiHiとHiLoの違いの方がLoHiとLoLoの違いより大きく、同等のモデル解像度が結合過程の表現に必要であることを示唆した(図1a-c、e-g)。北大西洋上で低気圧が発生し、北極域に進入した事例である2018年9月17日初期日の実験で、HiHiの改善がHiLoより大きかった(図1f, h)。SLPの予測差は低気圧の位置の予測と関連していた。HiHiとHiLoの予測の違いは、Gulf Stream続流域周辺の地上風と地上気温の差から発達しており、それらは鉛直混合メカニズムと圧力調節メカニズムが影響していると考えられる。HiHi実験では、これらのメカニズムによって24時間と48時間の予測時間で続流域周辺において下層PVを発生させ、このPVは英国北西の低気圧と併合し、低気圧およびそれに伴う温暖・寒冷前線の位置の違いをもたらした。これらの結果は、細かいSSTの表現に伴って引き起こされる対流圏の下層の風や気温の違いが、7日予測における低気圧の位置の違いにつながっていることを示している。この結果は、これまで統計的に調べられてきた海洋前線のストームトラックへの影響を特定の低気圧で詳細に調べた事例である。また、中緯度海洋の違いが低気圧を通じて北極海の海面水温や海氷まで影響をもたらす事例であり、大気海洋結合予測の有用性を示すものである。一方、海洋高解像度化は常に北極大気を改善するわけではないため、大気海洋相互作用がどのような場合に北極大気の予報を改善するかについてはさらに調べる必要がある。