日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG46] 北極域の科学

2023年5月24日(水) 13:45 〜 15:00 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:両角 友喜(国立環境研究所)、島田 利元(宇宙航空研究開発機構)、堀 正岳(東京大学大気海洋研究所)、川上 達也(北海道大学)、座長:島田 利元(宇宙航空研究開発機構)、堀 正岳(東京大学大気海洋研究所)

14:45 〜 15:00

[ACG46-10] 北極域と南極域の大気上端の上向き短波放射フラックスの長期変動

*安間 碩成1早坂 忠裕1 (1.東北大学大学院理学研究科)


キーワード:短波放射、海氷、積雪、雲

北極域の海氷面積と積雪面積は減少傾向であり、近年、南極域の海氷面積も減少している。海氷、積雪はアルビードが高く、これらの変化は短波放射の変動に大きな影響を与える。これまで、北極域と南極域の大気上端の上向き短波放射フラックス (TOA SW) の長期変動について、様々な研究が行われてきた (Previdi et al. 2013; Hartmann et al. 2014; Pistone et al. 2014; Loeb et al. 2019; Wu et al. 2020)。しかし、これらの研究では、大気上端に入射する短波放射、雪氷の季節変化、海域と陸域の違いに注目して、TOA SWの長期変動を詳細に解析されていない。そこで、本研究は季節変化、海域と陸域の違いに注目して、北極域と南極域におけるTOA SWの長期変動とその要因を明らかにする。また、北極域と南極域のTOA SWの長期変動の違いについても議論する。本研究は衛星観測データのCERES EBAF Ed 4.1を使用した。

北極域のTOA SWは、2001年から2012年まで減少トレンド (-2.5 W m-2 decade-1)、その後、年々変動の振幅が増加している。2012年までのTOA SWの減少トレンドは6月、7月の海氷面積の減少、5月、6月の積雪面積の減少で説明される。その後の年々変動は6月、7月の海氷面積、5月、6月の積雪面積、6月、7月の陸域の雲の変動で説明される。一方、南極域のTOA SWは2001年から2015年頃まで有意なトレンドを示さないが、その後に減少している。このTOA SWの変動は主に11月から1月の海氷面積の変動で説明される。

Hartmann, D. L., and P. Ceppi, 2014, J. Climate, 27, 2444–2456, https://doi.org/10.1175/JCLI-D-13-00411.1.
Loeb, N. et al., 2019, J. Climate, 32, 5003–5019, https://doi.org/10.1175/JCLI-D-18-0826.1.
Pistone, K. et al., 2014, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 111, 3322–3326, https://doi.org/10.1073/pnas.1318201111.
Previdi, M. et al., 2013, J. Climate, 26, 6406–6418, https://doi.org/10.1175/JCLI-D-12-00640.1.
Wu, D. L., et al., 2020, Remote Sens., 12, 1460, https://doi.org/10.3390/rs12091460.