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[ACG46-P06] Sentinel-2衛星画像によるグリーンランド氷床南西部の暗色域の縞模様の季節変化の解析
グリーンランド氷床の表面融解量の増加の原因には,地球温暖化による気温上昇だけでなく,雪氷面のアルベドの低下も大きく寄与していることがわかってきた.このアルベド低下の原因の一つは,裸氷域に現れるアルベドの低い暗色域の面積が拡大することである.この暗色域は,氷河の流動方向と垂直な縞模様で構成されている.しかしながら,この縞模様の形成要因と暗色域拡大の関係についてはまだ十分にわかっていない.そこで,本研究では,2019年6月から8月の融解期の期間に撮影されたSentinel-2衛星画像を用いて,グリーンランド氷床南西部の裸氷域における暗色域の縞模様の季節変化について解析した.解析の結果,本研究の調査域の全平均表面反射率は,6月から7月下旬にかけて低下し,8月には上昇することがわかった.表面反射率と気象データの間に相関があったことから,この変化は,気象条件による氷表面の構造の変化によるものであると考えられる.解析対象の裸氷域は,表面反射率に基づいて,下流側の白色域と上流側の暗色域にわけられ,さらに暗色域は縞模様から暗色縞,中間縞,白色縞に分類できた.それぞれの領域の表面反射率の季節変化を解析した結果,7月の表面反射率の低下量は,各領域で異なり,中間縞の低下量が最も大きいことがわかった.さらに,縞模様の太さや曲線パターンも季節によって変化することがわかった.以上のことは,裸氷域の表面反射率の変化は,気象条件だけではなく,各領域の氷の性質も関係していることを示唆している.さらに,暗色域の縞模様は,氷の融解に伴う氷体内の不純物の露出によって形成されると考えられ,露出する氷体内の不純物量によって表面反射率の低下量や縞模様の変化が決まるものと考えられる.以上の結果から,裸氷域の表面反射率の変化には,気象条件だけでなく,氷体内の不純物量が関係していること,氷の融解に伴う不純物の露出領域の拡大が,暗色域の近年の拡大に寄与していることが示唆された.