日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気海洋・環境科学複合領域・一般

[A-CG47] 有人・無人航空機による気候・地球システム科学研究の推進

2023年5月25日(木) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (10) (オンラインポスター)

コンビーナ:高橋 暢宏(名古屋大学 宇宙地球環境研究所)、小池 真(東京大学大学院 理学系研究科 地球惑星科学専攻)、町田 敏暢(国立環境研究所)、篠田 太郎(名古屋大学宇宙地球環境研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/26 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[ACG47-P04] 航空機搭載偏波レーダによる台風観測シミュレーション(3)

*高橋 暢宏1 (1.名古屋大学 宇宙地球環境研究所)

キーワード:航空機観測、台風観測、偏波レーダ

JpGU2021とJpGU2022において台風の航空機搭載のレーダ観測の可能性について、数値シミュレーションデータを用いて二重偏波レーダの観測シミュレーションを行い、観測の可能性を示すとともに、限られた観測時間での観測範囲の確保に課題があることを示した。本報告では、さらにシミュレーションを精緻化するために降水による減衰量の推定を加えるとともに、減衰補正したレーダ反射強度因子(Z)の推定に有用な地表面の総減衰量を計算した。さらに観測データをもとに台風の内部の物理量の再現(リトリーバル)アルゴリズムについて検討を行った。特に風速場のリトリーバルについては、レーダの走査データを利用して走査面内の風速場を再現する方法も検討に加えた。これは、地上レーダにおけるVAD(Velocity Azimuth Display)法による水平風速の推定をクロストラック方向に走査する航空機搭載レーダに適用するものであり、これにより走査範囲内の鉛直方向の運動の特徴も取り出すことができると期待される。偏波レーダを用いた地表面散乱は現在のところ多くないためZdrやKDP(φDPの距離微分)の地表面での値がどの程度、リトリーバルに利用可能かを検討する。前者については、通常KDPを用いてZdrの減衰補正を行うが、海面散乱強度から推定した総減衰量により評価できる。KDPは、観測されたφDPを距離微分して推定するが後方散乱の位相差の影響によりφDPの変動が大きいことが課題となっており、海面散乱のφDPを拘束条件とすることでKDPの推定の改善が見込まれる。