日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-GE 地質環境・土壌環境

[A-GE28] Energy-Environment-Water Nexus and Sustainable Development

2023年5月25日(木) 15:30 〜 16:45 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:川本 健(埼玉大学大学院理工学研究科)、Yonghong Hao Hao(Tianjin Normal University)、Jet-Chau Wen(National Yunlin University of Science and Technology)、Wenke Wang(Changan University)、Chairperson:Yonghong Hao Hao(Tianjin Normal University)、Wenke Wang(Changan University)、川本 健(埼玉大学大学院理工学研究科)

16:00 〜 16:15

[AGE28-08] 顆粒状軽量気泡コンクリートの水中分散油除去に向けた適用可能性

*藤崎 鉄心1松野 晃明1川本 健1 (1.埼玉大学)

キーワード:軽量気泡コンクリート、分散油、廃水処理

藤崎鉄心(041947)1, 松野晃大(019778)1, 川本健(015049)1


1 埼玉大学大学院理工学研究科 〒338-8570 さいたま市桜区下大久保255番地

キーワード:軽量気泡コンクリート,分散油,廃水処理,再利用・リサイクル

発展途上国のベトナムでは,急激な人口増加,都市化,工業化により生活排水や工業排水の排出量が増加している。例えば2016年には、ベトナム中部沿岸地域の200kmに及ぶ海岸で油流出事故が発生し、大きな環境破壊と魚の死滅が発生した。また、多くの地表や沿岸の排水が環境基準を超えて汚染されていることが報告されている。一方、急速な経済成長に伴い、建設解体廃棄物(CDW)を含む固形廃棄物の排出量が増加しており、ベトナムにおける固形廃棄物総排出量の約12%(2019年には約6万トン/日)に達している。しかし、これまで、発生したCDWの再利用やリサイクルが十分に行われておらず、CDWは処理されずに直接埋め立てられたり、空き地や池、河川敷に投棄されたりしている。本研究では、ベトナムにおける建設廃棄物のうち、軽量気泡コンクリート廃棄物の有効利用を目的とし、排水中の分散油除去への適用性を検討した。顆粒状軽量気泡コンクリートは多孔質で比表面積が大きいため、廃水中の分散油の除去に適した吸着材として期待される。まず、顆粒状軽量気泡コンクリートを粉砕・ふるい分けして顆粒状軽量気泡コンクリート(粒径:0.106〜0.25、0.25〜0.85、0.85〜2mm)を調製した。分散油の吸着を促進するために、未加工の顆粒状軽量気泡コンクリートだけでなく、疎水化/親油化剤(オレイン酸、ステアリン酸)をコーティングした顆粒状軽量気泡コンクリートも吸着材として使用した。排水中の分散油の除去を検討するために、実験室で大豆油を純水に分散させ、初期濃度が10〜1000mg/Lの範囲で異なる合成分散油溶液を調製した(油滴サイズ<2μm)。バッチ吸着試験を行い,試験後の吸着剤中の油分濃度を測定することにより除去率を算出した。その結果、コーティングされていない顆粒状軽量気泡コンクリートとコーティングされた顆粒状軽量気泡コンクリートの両方が、水中に分散した油をよく除去し、特に、1 g/kgのオレイン酸と10 g/kgのステアリン酸でコーティングした顆粒状軽量気泡コンクリートは、すべての初期油濃度溶液で高い除去率(> 70 %)を示した。このことから、顆粒状軽量気泡コンクリートは油性排水の処理に非常に適しており、顆粒状軽量気泡コンクリートの有効なリユース・リサイクルに貢献することが示唆された。