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[AHW19-05] 活火山火口湖の水循環システムと地殻熱流に関する研究:蔵王・御釜
キーワード:火山活動、火口湖、地殻熱流、水循環システム
宮城県にある蔵王火山・御釜(pH=3.1-3.4)における水循環システムと地殻熱流の影響を,水文気象と水温の長期観測から議論する(Figure 1)。まず,御釜に対する水収支・化学物質収支を評価することで,地下水の流入・流出量の季節変化を求めた。また,2021~2022年に最深点に水温ロガーを10台係留し,完全結氷期を含む通年の温度構造変化から,地殻熱流量の変化を調べた。結果として,地下水流入量Ginは0.012-0.040 m3/s,地下水流出量Goutは0.012-0.027 m3/sの値が得られ,これらは,御釜の水位変化に伴う体積変化と高い相関(Gin, Goutに対し,それぞれR2=0.661, 0.848; p<0.01)があることがわかった。他方,2021年12月~2022年2月28日の完全結氷期間に,湖底から15m高さまで水温の上昇が認められ,これにより,地殻熱流量は10日間移動平均で-0.4~5.5 W/m2の間で変化することがわかった。これは,受熱層全体が期間を通じ,1.08℃から1.56℃に増温することを意味し,この小さな増温は,現在の御釜での静穏な火山活動を反映していると考えられた。