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[AHW24-P02] 首都圏西部における湧水群の質的性状の地域性と多様性
キーワード:都市域、地下水流動・物質移行、首都圏、マルチトレーサー
首都圏を擁する関東平野の西部には,北から南に向かって荒川扇状地,入間台地,武蔵野台地が分布している.各地域の都市化の程度は大きく異なっており,荒川扇状地では農地が多く残されているのに対して,武蔵野台地では都心から郊外型の土地利用が主体である.入間台地は,両地域の中間的な土地利用となっている.本研究では,これら都市化の程度が異なる地域に分布する湧水群を対象とし,都市域における人間活動が地下水の流動や質的性状の形成に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,地下地質構造や土地利用の変遷,地下水の質的性状やその変遷等を調査してきた.地下水の質的性状については,主要溶存成分や環境同位体,PPCPs,人工甘味料,大腸菌・大腸菌群,年代指標等を把握することにより,質的性状の形成メカニズム・プロセスを総合的に解明することを目指している.この研究の一環として,2022年12月に,荒川扇状地から武蔵野台地にかけて点在する22地点の湧水を対象とした.
湧水群の質的性状にかかわる指標群の結果には,それぞれ異なる傾向が認められた.例えば,主要溶存成分のうちNO3-,SO42-に着目すると全体としてそれぞれ6.1~88.2mg/L,13.3~61.8mg/Lを示し,NO3-については3地域で概ね同程度の値を示したのに対して,SO42-については相対的に荒川扇状地・入間台地の湧水群が高く武蔵野台地の湧水群が低い傾向を示した.ただしSO42-濃度は,武蔵野台地内においても北部(埼玉県内)において高く南部(東京都区部)において低い傾向を示した.これに対して,Cl-濃度は武蔵野台地南部において高く北部において低い傾向を示した.一方,大腸菌・大腸菌群については,大腸菌群は武蔵野台地北部の一部の湧水を除いて検出されたものの,カウント数に地域性は認められなかった.また,大腸菌が検出されたのは武蔵野台地北部の1地点のみであり,カウント数も1であった.他方,環境同位体のうちδ18O・δDについては,武蔵野台地北部・南部の湧水群が同程度の値を示したのに対して,荒川扇状地・入間台地の湧水群は相対的に低い値を示した.
これらの結果に認められた地域ごとの傾向や地域内での多様性は,土地利用の差異や下水道網の普及・劣化状況の差異,さらに地下水流動過程における水-岩石反応や脱窒等の生物活動の進行度の違い等を反映していると考えられた.発表では,これらの項目について検討した結果を報告する.
湧水群の質的性状にかかわる指標群の結果には,それぞれ異なる傾向が認められた.例えば,主要溶存成分のうちNO3-,SO42-に着目すると全体としてそれぞれ6.1~88.2mg/L,13.3~61.8mg/Lを示し,NO3-については3地域で概ね同程度の値を示したのに対して,SO42-については相対的に荒川扇状地・入間台地の湧水群が高く武蔵野台地の湧水群が低い傾向を示した.ただしSO42-濃度は,武蔵野台地内においても北部(埼玉県内)において高く南部(東京都区部)において低い傾向を示した.これに対して,Cl-濃度は武蔵野台地南部において高く北部において低い傾向を示した.一方,大腸菌・大腸菌群については,大腸菌群は武蔵野台地北部の一部の湧水を除いて検出されたものの,カウント数に地域性は認められなかった.また,大腸菌が検出されたのは武蔵野台地北部の1地点のみであり,カウント数も1であった.他方,環境同位体のうちδ18O・δDについては,武蔵野台地北部・南部の湧水群が同程度の値を示したのに対して,荒川扇状地・入間台地の湧水群は相対的に低い値を示した.
これらの結果に認められた地域ごとの傾向や地域内での多様性は,土地利用の差異や下水道網の普及・劣化状況の差異,さらに地下水流動過程における水-岩石反応や脱窒等の生物活動の進行度の違い等を反映していると考えられた.発表では,これらの項目について検討した結果を報告する.