日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS14] 陸域海洋相互作用ー惑星スケールの物質輸送

2023年5月24日(水) 13:45 〜 15:00 展示場特設会場 (3) (幕張メッセ国際展示場)

コンビーナ:山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)、Behera Swadhin(Climate Variation Predictability and Applicability Research Group, Application Laboratory, JAMSTEC, 3173-25 Showa-machi, Yokohama 236-0001)、佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、升本 順夫(東京大学大学院理学系研究科)、座長:佐々木 貴教(京都大学 大学院理学研究科 宇宙物理学教室)、山敷 庸亮(京都大学大学院総合生存学館)

14:45 〜 15:00

[AOS14-05] 地球-月圏および火星における太陽系小天体の衝突リスク

★招待講演

*吉川 真1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:プラネタリーディフェンス、天体衝突、地球接近天体、軌道

小惑星や彗星のような太陽系小天体の地球衝突問題については、スペースガードとして1990年代初めから議論が本格化してから約30年が経過した。この間、地球接近天体の発見が進み、現時点でNEO(Near Earth Object:定義は軌道における近日点距離が1.3au未満)と呼ばれる地球接近天体は約3万個発見された。また、NEOへの探査も次々と行われ10個のNEOに探査機が接近している。現在はプラネタリーディフェンスと言う名称で、天体の地球衝突問題が国際的にも広く活発に検討されている。このような現在までの検討は、地球への天体衝突に関したものであるが、今後、人類が月や火星に進出していくようなことを考えると、月や火星についても天体衝突を検討していく必要があろう。月については、地球に近い天体であるので地球への天体衝突の検討に含まれるが、実際の衝突現象については、月には地球のような大気が無いためにリスクの観点からはかなり異なることになる。一方で火星については、小惑星帯に近いために地球-月圏よりも天体衝突のリスクが大きくなる。試みに、現時点で軌道が分かっている小惑星について、軌道の空間的な向きを無視した場合に火星軌道と交差するものを調べてみると約5万個存在していることが分かる。同様な条件で地球軌道と交差するものは約2万個となる。観測は地球から行われているという選択効果も考慮すると、火星における天体の衝突リスクが地球よりもはるかに大きいことがわかる。本講演では、地球-月圏および火星への小天体の衝突リスクについて特に軌道の観点から議論する。