日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS15] 海洋物理学一般

2023年5月23日(火) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (5) (オンラインポスター)

コンビーナ:土井 威志(JAMSTEC)、岡 顕(東京大学大気海洋研究所)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/22 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[AOS15-P05] 北太平洋における南北熱輸送量とエクマン熱輸送量の時間変動

*深海 雪奈1植原 量行1 (1.東海大学院総合理工学研究科総合理工学専攻地球環境科学コース)


キーワード:熱輸送、エクマン輸送、北太平洋

近年,全球海洋の温暖化速度の2-3倍の速さで西岸境界流が温度上昇していることが報告された (Lixin Wu, 2012).これには亜熱帯西岸境界流の強化が示唆されていた.そこで,本研究では北太平洋亜熱帯循環の西岸境界流である黒潮に着目し,地衡流による海洋内部の熱輸送とエクマン熱輸送について議論を行う.用いたデータは,CMEMSが提供している衛星・現場観測に基づく3次元全球水温・塩分データセットであるARMOR3Dと気象庁が提供しているJRA55に基づく海面海洋モデルであるJRA55-doである.1993-2020年の北緯25度断面全体における海面から2000 mまでの正味の北向き体積輸送量の平均値は52.5 Sv,熱輸送量の平均値は1.2 PWであった.また,1993-2017年の同緯度断面全体における北向きのエクマン輸送量の平均値は6.0 Sv,熱輸送量の平均値は0.6 PWであった.地衡流による海洋内部の体積輸送量は,エクマン体積輸送量の約9倍であるのに対し,熱輸送量は約2倍であるため,海洋の熱輸送を議論するにあたり,海洋内部とエクマン層における両方の熱輸送について議論する必要がある.2012-2014年にかけてエクマン熱輸送量が0.8 PWから0.5 PWに減少している.同時期,エクマン輸送量は8 Svから5 Svに減少しているため,輸送が弱まったことに伴い熱輸送が弱まったと考えられる.対して,海洋内部の熱輸送量は0.8 PWから1.6 PWに増加,体積輸送量は40 Svから65 Svに増加していることで,海洋内部の輸送が強まったことに加えて,海洋内部の温度が上昇したことによって,熱輸送が強まったと考えられる.これらのことから,同時期に海洋内部とエクマン層とで熱輸送の増減が逆を示していた.講演時にはより詳細に海洋内部とエクマン層の熱輸送の変動についての議論を行うつもりである.