日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS16] 海洋化学・生物学

2023年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 オンラインポスターZoom会場 (3) (オンラインポスター)

コンビーナ:三角 和弘(一般財団法人電力中央研究所 サステナブルシステム研究本部 )、川合 美千代(東京海洋大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 17:15-18:45)

13:45 〜 15:15

[AOS16-P03] CMIP5大気外力を用いた北太平洋域ダウンスケーリングによる生物地球化学入り海洋将来予測データセットの開発

*西川 史朗1杉山 徹1、黒木 聖夫1、遠藤 伸彦1中野 英之2辻野 博之2石川 洋一1 (1.海洋研究開発機構、2.気象庁気象研究所)

キーワード:低次生態系入り海洋モデル、ダウンスケーリング、CMIP5、北太平洋域

我々のグループでは、CMIP5(結合モデル相互比較プロジェクト)等による大気データを海面外力に用いた高解像度の海洋ダウンスケーリングシミュレーションにより、日本周辺海域を対象とした領域海洋将来予測データセットFORP (Future Ocean Regional Projectionより命名) の開発を文部科学省プログラム(気候変動適応技術社会実装プログラム、統合的気候モデル高度化研究プログラムおよび気候変動予測先端研究プログラム)との関連で行ってきた。2021年から2022年にかけて作成・整備を行ったその最新版データセットFORP version 4は、文部科学省・気象庁「気候予測データセット2022」の一部を構成するデータとなるとともに、DIAS(データ統合・解析システム)において公開されている。FORP version 4は、水平解像度約10 kmの北太平洋版データFORP-NP10 version 4 と水平解像度約2 kmの日本近海版データFORP-JPN02 version 4からなり、前者では簡単な生物地球化学過程(低次生態系モデル)による変量が統合されていることが1つの特徴となっている。本発表では、その10km版の海洋予測データセット(FORP-NP10 ver. 4)の作成概要や物理場・生物地球化学場の基本的な再現・予測性能に関して、最新の状況を踏まえつつ簡単に紹介する。
 現時点(本稿執筆時)でDIASにおいて公開されているFORP-NP10 ver. 4 データは、CMIP5海面外力としてMIROC5およびMRI-CGCM3の2つのモデルの historical (1960-2005)、RCP2.6 (2006-2100)、RCP8.5 (2006-2100) シナリオを用いた時間連続積分によるシミュレーションデータとなっている。最近(2022年)、このデータのアンサンブル拡充として、CMIP5より新たにGFDL-ESM2MおよびIPSL-CM5A-MRの2つのモデルそれぞれの上記同シナリオを外力に用いた実験を実施し、FORP-NP10 ver. 4の拡充データとして公開準備中である。これにより、FORP-NP10 ver. 4 は予測のアンサンブルとして4種類のCMIP5モデルのhistoricalおよび2種類の将来予測シナリオから構成される合計約900年分のシミュレーションデータセットとなり、水平解像度10 kmの低次生態系入り海洋シミュレーションとしては現時点であまり例のない規模のものといえる。