日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 沿岸域の海洋循環と物質循環

2023年5月23日(火) 13:45 〜 15:00 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:和田 茂樹(筑波大学)、高橋 大介(東海大学)、永井 平(水産研究教育機構)、増永 英治(Ibaraki University)、座長:高橋 大介(東海大学)、永井 平(水産研究教育機構)

13:45 〜 14:00

[AOS17-01] 傾圧と順圧的運動に関連する東京湾における運動エネルギーの評価

*渡邉 暦1到津 春樹1増永 英治1 (1.茨城大学)


キーワード:東京湾、運動エネルギー、傾圧と順圧的運動

東京湾のような閉鎖的な内湾では周期的な潮汐の影響に加え,風やその他の外的要因が起因となる非潮汐成分の影響が大きい.非潮汐成分はその運動により成層化や鉛直混合,貧酸素水塊の湧昇を引き起こす.東京湾における成層化や貧酸素水塊について多くの議論が行われているが,湾奥において潮汐や風がどのように海水循環や運動エネルギーに寄与しているのかを詳細に調査した研究事例は少ない.そこで,本研究ではモニタリングポストの定点観測データを用いて,海水運動について潮汐の影響や周期毎の運動による影響の解析を行なった.まず,観測された流れを潮汐流と非潮汐流に分け,それぞれの成分を順圧と傾圧の運動エネルギーに分解した.解析の結果,湾奥北岸の千葉灯標にて非潮汐傾圧成分が夏季に大きくなることが確認された.成層の強度を表すブラント・バイサラ振動数と傾圧成分の運動エネルギーの関係から千葉灯標における非潮汐傾圧成分は成層の強度で説明できることがわかった.夏季に強められるこの傾圧的な運動は夏季に強化される水温成層と河川水の流入によって説明できた.さらに,4つの成分を,それぞれ36時間周期を境界に長周期と短周期に分解した.湾奥部の川崎人工島において非潮汐順圧の短周期成分は風の長周期成分から影響を受けていることが確認された.加えて,非潮汐傾圧の短周期成分は風の短周期成分と相関性が見られ,影響を受けていることがわかった.これらの結果から,東京湾湾奥部における運動成分は風応力や成層強度によって説明できることがわかった.