日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS17] 沿岸域の海洋循環と物質循環

2023年5月23日(火) 15:30 〜 16:45 102 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:和田 茂樹(筑波大学)、高橋 大介(東海大学)、永井 平(水産研究教育機構)、増永 英治(Ibaraki University)、座長:増永 英治(Ibaraki University)、和田 茂樹(筑波大学)

16:30 〜 16:45

[AOS17-10] 広範囲に捉えた河川フロントの流速場の推定

*杉原 光都1木田 新一郎2中村 知裕3横松 和1 (1.九州大学総合理工学府、2.九州大学-応用力学研究所、3.北海道大学-低温科学研究所)

キーワード:河川フロント、流速場推定、ドローン

河川水と海水の間で起こる混合過程の理解を進めるため、北海道厚岸湾で形成された河川フロントをドローンを用いて空撮観測した。河川フロントとは河川水と海水の境界を指し、塩分が急激に変化し、数分および数メートルスケールで変化する現象である。そのため船舶観測では捉えることが難しく、高頻度・高解像度で空撮を行う必要がある。これまで我々が沿岸域で進めてきた空撮データはカメラを真下に向けた空撮手法を用いてきた。この手法では空間解像度が均一になるものの、撮影範囲が狭く、空間構造の大きな河川フロントの全体像を捉えることが難しい。そこで本研究ではカメラを斜めに傾けることで、近距離は高解像度で捉えつつ、遠方は広範囲で捉えることを目指した。
また、河川フロントの流速場の推定方法として、空間的局所最適化法を用いることで河川フロントの輪郭を追跡し画像間の変形に対応できるようにした。その結果、空撮画像から画像中に含まれる口径食や照り返しの影響を除去することで、河川フロントの流速場を推定することに成功した。推定値はADCPを用いた現場の観測値に近い値であり、十分な精度があることが確認できた。
今後は河川フロント上に形成された渦など、より高解像度な流速分布の推定を行う予定である。