日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-01] 地球科学関連教育と情報デザイン

2023年5月21日(日) 09:00 〜 10:15 103 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:松岡 東香(清和大学)、山下 幹也(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)、座長:松岡 東香(清和大学)、山下 幹也(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

10:00 〜 10:15

[G01-05] 海岸地形を対象としたメタバース巡検の実践―VR内人流データによる時空間解析―

*飯塚 浩太郎1山内 啓之2小倉 拓郎3、のりたま @noritama_vrc4、Kuroly @Kuroly74 (1.東京大学 空間情報科学研究センター、2.東京大学大学院 新領域創成科学研究科、3.兵庫教育大学学校教育研究科、4.VRC理系集会)

キーワード:VR、ドローン、メタバース、クラスター分析、リモートセンシング、地理教育

COVID-19の予防のためにオンラインツールよる講義や学会が可能となったが、同ツールを用いた一方通行によるコミュニケーションの欠如は多くの者に不満をもたらしている。他方、地球科学や関連分野において重要な教育機会として巡検が実施されている.しかし、COVID-19の制約によって中止を余儀なくされているケースが多い。現在、地球科学や地理教育に関連した新しい取り組みとして、360度画像や映像を用いたバーチャル巡検などが模索されている。しかし、これらは自由な空間移動を行えず、他者との交流も実施中は制限されるため、体験者の満足度をより高める方法を考えなければならない。
近年、没入型VRの登場によって、VR体験者らが同一のVR空間に参加・交流し、他者とのコミュニケーションを広げられるメタバースが話題となっている。メタバースによる巡検の可能性は、一人型の体験方法や定点観測などの従来のバーチャル巡検の制限を超越できる可能性がある。そこで本研究の目的は、ユーザーの行動データによる時空間分布の特徴を明らかにし、地理教育に関連したメタバース巡検の可能性を探るものである。

本研究手法の手順は以下のとおりである:
1.ドローンを用いた写真測量をもって、物質世界の実環境を3次元モデルとして再現する。
2.再現したモデルをVR空間に再構築し、教育用のワールドデザインを行う。
3.実際に一般のVRユーザーに参加してもらい、メタバース巡検を実施する。
4.時空間データの解析とアンケート調査から、メタバース内のユーザーの行動を分析し、教育効果を検証する。

従来の巡検ではアンケート調査が主流であるが、VRの特性を生かして実際のユーザーの定量的な行動データを可視化させ、どれくらいの教育効果があったのかを分析する。本研究発表時には、解析結果及び、実際に作成したメタバースワールドの紹介を行う。

謝辞
VRC理系集会及び、こくたん(@cocu_tan)による人流解析ツールの提供や、フィールドワークに参加して頂いたユーザー達により本研究を実現できた。ここに記して謝意を表したい。