日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 総合的防災教育

2023年5月21日(日) 09:00 〜 10:30 オンラインポスターZoom会場 (1) (オンラインポスター)

コンビーナ:林 信太郎宇根 寛中井 仁(小淵沢総合研究施設)、小森 次郎(帝京平成大学)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 17:15-18:45)

09:00 〜 10:30

[G02-P05] 中学校理科教員の地震防災教育に関する意識調査結果:神戸市の例

*川村 教一1有道 俊雄1 (1.兵庫県立大学大学院 地域資源マネジメント研究科)

キーワード:自然災害、地震、理科教員、中学校、意識調査

神戸市内の中学校理科教員を対象に、地震防災教育に関する意識について、アンケート調査を実施した.

調査方法
 調査はアンケート法である.調査紙(A4版1ページ)に示した設問内容について,回答は被験者自身による音声回答・録音によった.回答時間に制限は設けなかった.

調査対象
 神戸市の公立中学校理科教員(教育委員会指導主事を含む)のうち調査協力の意思表示をした方に対して,調査紙および回答用の録音機材,返信用封筒一式を送付した.実施時期は2022年11月中旬~12月下旬とした.2023年1月以降に回答を録音,返送された例があったが,分析対象外とした.理由は,神戸市においては1月17日前後に兵庫県南部地震関連の行事が学校内外であるので,回答内容へ影響を与えている恐れを避けるためである.

調査内容
ア 回答者属性(ご年齢,兵庫県南部地震の震動の有無)
イ 中学校理科の学習指導の経験
ウ 地震・津波に関する事柄
エ 兵庫県の中学校理科教員として保有すべき地震や津波の知識
オ 過去に発生した南海トラフ地震・津波について知っていること
カ 想定されている将来の南海トラフ地震・津波について知っていること
キ 兵庫県の中学校理科教員として,南海トラフ地震・津波について知りたいこと
ク 南海トラフ地震・津波について
・指導経験の有無
・中学校理科の授業で教えるべき内容
・兵庫県の中学校理科の教育に対し,地震・津波の専門家や防災の専門家からの支援を希望するか.
ケ その他,地震・津波の教育やこれらの災害に関する防災教育の推進について意見

調査結果
 21名の教員に送付したうち,調査期間中に返送があったのは13名分である(返送率61.9%).うち1名は音声記録ではなく,紙面での回答であった.
 過去に発生した南海トラフ地震・津波について知っていることに関する問いでは,周期的に太平洋沖で発生したことは良く知られているが,それ以上の知識を示す回答はなかった.
 想定されている将来の南海トラフ地震・津波について知っていることに関する問いでは, 太平洋や瀬戸内海沿岸で津波による被害が推定されていることが複数の回答者から挙げられた.
 兵庫県の中学校理科教員として,南海トラフ地震・津波について知りたいことに対する問いでは,被害予測の具体を知りたいという回答が多い.
 南海トラフ地震・津波について,中学校理科の授業で何を教えるべきかについての問いでは,一般論として津波も含め地震に関する現象やその発生過程を教えるべきという回答が複数ある.
 その他意見では,複数見られた回答として,教材研究の時間が取れないので,何らかの支援を期待している.

 本研究の一部は,JSPS科研費基盤研究(B)課題番号20H01749(代表者川村教一),JR西日本あんしん社会財団による令和4年度研究助成の財政的援助を受けた.また,校務ご多忙のところ,多くの教員の方のご協力をいただいた.記して感謝申し上げる.