09:00 〜 10:30
[G02-P07] 学校教職員を対象とした防災訓練の効果検証ー東京都内中学校での実践を踏まえてー
本論では、東京都内中学校での実践をもとに、「『防災訓練の改善』を軸に据えた防災教育」が教職員に与える影響の考察を行う。同校は昨年度から「学校安全推進校」に指定されており、筆者らと共同実践を行っている。2021年度は、教職員を対象とした「机上訓練」「実動訓練」を中心とする実践を、2022年度からは、防災訓練の改良をはじめ、生徒を対象とする防災教育を教員主体で実践してきた。
同校は、安全推進校に指定されたことで、半ば強制的に学校防災の改善に着手した。しかし教員らは、大木研究室との共同実践を開始してすぐに前向きな態度で取り組みを行い、2年度目となる2022年度にはその姿勢をさらに強め、防災教育の企画・運営・実践の主体となった。本研究において筆者らは、同校で実践されたさまざまな取り組みの中で、「防災訓練(机上訓練・実動訓練)」に着目し、そのどんな要素が教員らの防災に対する意識を変え、既存の防災体制を改めるに至ったのかに着目した。訓練に参加した教職員に対して、アンケート・ヒアリング調査を複数回行い、2年間の防災実践が「防災教育を行う立場」である学校教員に及ぼした影響とその要因を分析・考察して、以下のことを明らかにした。
1点目は、防災実践を通じて、教員にとって生徒の存在が「守る対象から災害下を共に生き抜く対象」へと変化したことである。2点目として、教員向け訓練――「机上訓練」「実動訓練」を通じて、1)防災実践に対して教員が主体的になったこと、2)教員がそれぞれの発災物語を獲得していること、3)本来の意図とは異なる価値を訓練に見出していることが挙げられる。これらの分析結果からは、効果的な訓練や訓練改善サイクルを学校現場で実践し続けるためには、1)新任教職員へ知見・熱量を共有する機会を設けること、2)話し合いの場を設けることの重要性が示唆される。
また、2年間の実践を通じて明らかとなった、教員向け訓練に残された課題 1)訓練の効果に個人差があること、2)訓練の作成・分析の担い手不足について紹介し、今後の提案を行う。
同校は、安全推進校に指定されたことで、半ば強制的に学校防災の改善に着手した。しかし教員らは、大木研究室との共同実践を開始してすぐに前向きな態度で取り組みを行い、2年度目となる2022年度にはその姿勢をさらに強め、防災教育の企画・運営・実践の主体となった。本研究において筆者らは、同校で実践されたさまざまな取り組みの中で、「防災訓練(机上訓練・実動訓練)」に着目し、そのどんな要素が教員らの防災に対する意識を変え、既存の防災体制を改めるに至ったのかに着目した。訓練に参加した教職員に対して、アンケート・ヒアリング調査を複数回行い、2年間の防災実践が「防災教育を行う立場」である学校教員に及ぼした影響とその要因を分析・考察して、以下のことを明らかにした。
1点目は、防災実践を通じて、教員にとって生徒の存在が「守る対象から災害下を共に生き抜く対象」へと変化したことである。2点目として、教員向け訓練――「机上訓練」「実動訓練」を通じて、1)防災実践に対して教員が主体的になったこと、2)教員がそれぞれの発災物語を獲得していること、3)本来の意図とは異なる価値を訓練に見出していることが挙げられる。これらの分析結果からは、効果的な訓練や訓練改善サイクルを学校現場で実践し続けるためには、1)新任教職員へ知見・熱量を共有する機会を設けること、2)話し合いの場を設けることの重要性が示唆される。
また、2年間の実践を通じて明らかとなった、教員向け訓練に残された課題 1)訓練の効果に個人差があること、2)訓練の作成・分析の担い手不足について紹介し、今後の提案を行う。