日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] オンラインポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2023年5月21日(日) 10:45 〜 12:15 オンラインポスターZoom会場 (4) (オンラインポスター)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)、丹羽 淑博(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)

現地ポスター発表開催日時 (2023/5/21 17:15-18:45)

10:45 〜 12:15

[G03-P08] 東京都足立区の小学校内でボーリング調査し,ボーリングコアを観察する特別授業

*植木 岳雪1 (1.帝京科学大学教育人間科学部)

キーワード:東京低地、小学校、理科、標準ボーリングコア、沖積層

東京都足立区は,荒川や中川が東京湾に注ぐ標高数メートル以下の低地に位置し,過去に何回も洪水にみまわれている.また,足立区の地下には,厚さ50 mに達する軟弱な地層(沖積層)があり,地震時には大きな揺れが生じ,液状化も発生する.このように,足立区は自然災害に脆弱な地域であり,レジリエンスな地域を構築するためには,足立区の将来を担う子どもたちに地域の自然を理解させ,災害時には自ら判断して行動する力(自助)をつけることが重要である.

 小学校では地層のでき方や平野の地形の学習において,ボーリングコアの利用が推奨されている.足立区では,自然の露頭がないため,コアを利用しないと地層の実物を見ることができない.そこで,足立区内の小学校でボーリング調査を行い,その小学校に標準コアを用意し,周辺の小学校へコアを貸し出すシステムを,大学と足立区との地域連携授業として構築することとした.

 2023年度は,鹿浜第一小学校を模式校として以下の活動を行い,システム構築のためのノウハウを蓄積することとした.(1)大学内の地域連携助成金に応募し採択された.(2)大学と足立区との連携を図り,区の協力を得た.(3)小学校との連絡・調整を行った.(4)6月上旬に,小学校内で長さ12 mのボーリング調査を行った.6年生が理科の時間として,見学に訪れた.(5)ボーリングコアの記載を大学で行い,貝化石を放射性炭素(14C)年代測定に供した.(6)コアの堆積過程・年代観を構築した.(7)11月下旬に,6年生が理科の地層の単元に入ったのに合わせて,ボーリングコアを観察する45分特別授業を3クラスで行った.児童は自主的に動き,普段とは違う興味・関心を持って学習できた.(8)ワークシートの分析(肯定的なコメントが多数).

 今後,毎年1本ずつ足立区の別地区の小学校でボーリング調査を行い,足立区全体で標準ボーリングコアを揃える予定である.