日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[E] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG19] 風景評価とレクリエーションの国際比較

2023年5月25日(木) 09:00 〜 10:15 201A (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:水内 佑輔(東京大学農学生命科学研究科)、劉 銘(國學院大學観光まちづくり学部)、座長:劉 銘(國學院大學観光まちづくり学部)、水内 佑輔(東京大学農学生命科学研究科)

09:15 〜 09:30

[HCG19-02] Covid-19自粛期間における森林散策体験がもたらす心身の回復効果 -パンデミック以前との比較-

★招待講演

*高山 範理1 (1.国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)

キーワード:心身の健康、森林散策、Covid-19

本研究ではCovid-19のパンデミック以前の調査結果を対照として、パンデミック中の状況下において森林浴が心身の回復に与える効果について、20代の男女を中心に唾液中アミラーゼ活性(生理指標)およびRestorative Outcome Scale、Profile of Mood Statesを使用して調査および検討した。その結果、以下の結果が得られた。


1)調査対象者の生理・心理的なストレスが、パンデミック以前よりもパンデミック中の自粛期間に相対的に高い傾向が確認された

2)パンデミック前の平常時の体験後に生理的に生じていたユーストレスが、パンデミック中の体験後にはディストレスの減少という結果として現れる可能性が示された。

3)パンデミック中の自粛期間において、森林浴を体験することで、特に主観的回復感が上昇および気分状態が改善し、パンデミック前の平常時に森林浴を体験した後のレベルまで心理的な回復が得られることが明らかにされた。

今回の研究がもたらす成果から、もしパンデミック中においても森林浴を行うことにより、パンデミック前と同様の心身の状態に回復することが分かった。今後、Covid-19の変異種やその他の感染症によって新たなパンデミックが生じた場合であっても定期的に森林浴を行えば、その時々に心身にもたらされるストレスを低減することが可能になり、感染症によるパンデミック下において特に求められる心身の健康管理に活用できることが明らかにされた。