11:30 〜 11:45
[HCG20-04] 水中土石流における礫の役割:水路実験予報
キーワード:水路実験、水中土石流、礫
水中土石流や混濁流のような水中重力流は,重要な土砂輸送現象であるとともに,海底インフラについても重要な影響を及ぼす現象であり,その挙動についてさまざまな研究が行われている.また,地層からは,水中土石流堆積物と混濁流堆積物のさまざまな混合パターンと推測されるハイブリッドイベント構造が報告されており,流れの挙動とそれがどのように地層へと反映されるのかについて,多くの議論がある.我々は現在,含泥率の高い流れに礫が及ぼす影響について基礎的な知見を得るための実験を行っており,本発表ではその予察的結果を報告する.
実験はIlstad et al. (2004)の実験条件を参考として,それに礫を混入させた.すなわち,流れの材料全体の35重量%が水,32.5重量%が粘土という比率を固定して,残りの32.5重量%の内訳を,砂のみ(礫0%),礫5重量%,礫15重量%と3通りに変化させて,流れの挙動と堆積物の分布を調べた.なお,粘土はカオリナイト(平均粒径0.4μm),砂は硅砂(平均粒径330μm),礫は市販の大磯礫(3-5mm)を用いた.
これらの材料をよく攪拌し,水中に沈めた長さ700cm,幅8cm,高さ50cm,傾斜6度の水路に流した.流れの挙動をデジタルカメラや高速カメラで撮影し観測した.また,流れが通過した後の堆積物の分布を測定した.
その結果,礫が入ると,途中で流れの加速が起こり,7mを流下する時間が大幅に短縮する(礫0%では21秒,5%では15秒,15%では16秒)ことがわかった.流下後の堆積物の分布も,礫の有無によって異なり,礫がある場合はない場合に比べてより上流側で堆積した.堆積物中の礫の分布を観察すると,礫を含む流れが加速し始め,さらに減速に切り替わった地点の0.5-1m下流で礫の分布が終わっていた.上流端からの位置を460cmに固定した高速カメラで観察すると,礫の有無により流れの先端底面の形が異なる.礫がない場合には,先端部分は捲れ上がるように高角に楔状の水が入るのに対し,礫が入ると,より低角の楔となる.
こうした礫の混入による流れの変化のメカニズムの解明は今後の課題であるが,礫が混じることによって水中重力流の速度が大きくなることは,重力流発生地点付近に礫の供給がある場合は重力流の影響を過小評価しないように注意する必要性を示唆している.
実験はIlstad et al. (2004)の実験条件を参考として,それに礫を混入させた.すなわち,流れの材料全体の35重量%が水,32.5重量%が粘土という比率を固定して,残りの32.5重量%の内訳を,砂のみ(礫0%),礫5重量%,礫15重量%と3通りに変化させて,流れの挙動と堆積物の分布を調べた.なお,粘土はカオリナイト(平均粒径0.4μm),砂は硅砂(平均粒径330μm),礫は市販の大磯礫(3-5mm)を用いた.
これらの材料をよく攪拌し,水中に沈めた長さ700cm,幅8cm,高さ50cm,傾斜6度の水路に流した.流れの挙動をデジタルカメラや高速カメラで撮影し観測した.また,流れが通過した後の堆積物の分布を測定した.
その結果,礫が入ると,途中で流れの加速が起こり,7mを流下する時間が大幅に短縮する(礫0%では21秒,5%では15秒,15%では16秒)ことがわかった.流下後の堆積物の分布も,礫の有無によって異なり,礫がある場合はない場合に比べてより上流側で堆積した.堆積物中の礫の分布を観察すると,礫を含む流れが加速し始め,さらに減速に切り替わった地点の0.5-1m下流で礫の分布が終わっていた.上流端からの位置を460cmに固定した高速カメラで観察すると,礫の有無により流れの先端底面の形が異なる.礫がない場合には,先端部分は捲れ上がるように高角に楔状の水が入るのに対し,礫が入ると,より低角の楔となる.
こうした礫の混入による流れの変化のメカニズムの解明は今後の課題であるが,礫が混じることによって水中重力流の速度が大きくなることは,重力流発生地点付近に礫の供給がある場合は重力流の影響を過小評価しないように注意する必要性を示唆している.