10:45 〜 12:15
[HCG20-P02] 畳み込みミューラルネットワークを用いた土石流堆積物の逆解析手法の開発
キーワード:畳み込みミューラルネットワーク、土石流、機械学習
本研究では,畳み込みニューラルネットワーク (CNN)を応用し,堆積物の平面的な分布情報から土石流の水理条件を復元する逆解析モデルを構築した.
土石流は間隙水が飽和した土砂が崩壊し,高い濃度を保ったまま流下する現象であり,特に山地周辺の地域では深刻な自然災害の原因となる.
これまで,土石流の初期条件から流下時の挙動を再現するモデルは開発されているものの,実際の堆積物の分布から流れの条件を復元することは困難であった.
そこで,本研究では,ランダムな初期条件を与えた土石流の水平2次元数値モデルを用いた数値実験を複数行って人工的に堆積物分布を生成し,初期条件との関係をCNNに学習させることで,土石流発生時の土砂濃度,降伏応力および粘性を推定する逆解析モデルを構築する手法を提案する.本研究は,人工データ生成のためのフォワードモデルにはHerschel-Bulkley流体モデルを採用した.逆解析手法を試す地形としては,北海道勇払郡厚真町の北緯42.736°−42.748°, 東経141.872°-141.884°の地域を選んだ.この地域では,2018年9月6日に発生した胆振東部地震の際に土石流が発生した.
この土石流イベントを逆解析するため,まずランダムに初期条件パラメータ(土砂濃度・降伏応力・粘性係数)を生成し,国土地理院10 mメッシュ数値標高モデルから得られた地形上で土石流の流下プロセスを計算して,合計で1000個の堆積物分布のデータセットを作成した.生成されたデータセットをCNNに学習させ,このモデルを学習に使用していない未知のデータ20個に適用したところ,上記の初期条件パラメータが高い精度で復元された.RMSEも小さい値であり,十分な精度を実現した.
今後は,本研究のモデルを実際の土石流堆積物の層厚分布データに適用し,逆解析結果を検証する.天然の土石流堆積物への適用可能性が検証されれば,本研究のモデルは将来の土石流リスクを評価する実用的な手法となることが期待される.
土石流は間隙水が飽和した土砂が崩壊し,高い濃度を保ったまま流下する現象であり,特に山地周辺の地域では深刻な自然災害の原因となる.
これまで,土石流の初期条件から流下時の挙動を再現するモデルは開発されているものの,実際の堆積物の分布から流れの条件を復元することは困難であった.
そこで,本研究では,ランダムな初期条件を与えた土石流の水平2次元数値モデルを用いた数値実験を複数行って人工的に堆積物分布を生成し,初期条件との関係をCNNに学習させることで,土石流発生時の土砂濃度,降伏応力および粘性を推定する逆解析モデルを構築する手法を提案する.本研究は,人工データ生成のためのフォワードモデルにはHerschel-Bulkley流体モデルを採用した.逆解析手法を試す地形としては,北海道勇払郡厚真町の北緯42.736°−42.748°, 東経141.872°-141.884°の地域を選んだ.この地域では,2018年9月6日に発生した胆振東部地震の際に土石流が発生した.
この土石流イベントを逆解析するため,まずランダムに初期条件パラメータ(土砂濃度・降伏応力・粘性係数)を生成し,国土地理院10 mメッシュ数値標高モデルから得られた地形上で土石流の流下プロセスを計算して,合計で1000個の堆積物分布のデータセットを作成した.生成されたデータセットをCNNに学習させ,このモデルを学習に使用していない未知のデータ20個に適用したところ,上記の初期条件パラメータが高い精度で復元された.RMSEも小さい値であり,十分な精度を実現した.
今後は,本研究のモデルを実際の土石流堆積物の層厚分布データに適用し,逆解析結果を検証する.天然の土石流堆積物への適用可能性が検証されれば,本研究のモデルは将来の土石流リスクを評価する実用的な手法となることが期待される.