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[HCG21-P06] 高速増殖原型炉もんじゅ敷地内の花崗岩ボーリングコア試料の1m毎密度測定結果と岩級との関係
キーワード:密度、岩級、花崗岩
地すべり移動体や、断層破砕帯の密度・単位体積重量は、基盤岩・母岩に対して減少することが知られている(池田ほか, 2001;山田ほか, 2011など)。コア箱重量測定法(ダム工学会編, 2012)は、コア箱ごとに重量を測定してコア箱の重量を引き、コア形状を仮定して単位体積重量、密度を算出するものであり、深度方向に連続的なデータが現場で得られ、地質解析の合理化に有効である。福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅの敷地内において、基盤岩をなす江若花崗岩中に2本の岩盤ボーリング(掘進長100m、200m、孔間距離約30m)が実施された。掘削地点は活断層の地表トレースから約1km離れた斜面である。調査の課題は、重量構造物設置を想定した場合に問題となるような、大規模なすべり面となりうる弱面や大規模な破砕帯の有無を迅速に把握することであった。そこで、コア箱重量測定法を参考に1m毎の湿潤コア重量を測定し、コア形状を円筒と仮定して湿潤密度(以下、単に密度とする)を算出し、コア観察による岩級区分との比較を行った。
岩盤部のコアの湿潤密度は、半割塩ビ管に載せた1mコアの重量(kg)を小数点第1位まで測定し、半割塩ビ管重量(0.7kg)を引き、コア直径6cm、長さ1mとして計算した体積で割る事により、密度(g/cm3)を小数点第2位まで求めた。岩級は割れ目の状態、コアの形状、コアの硬さに基づき、B、CH、CM、CL、D級に区分するとともに、破砕帯は粘土化の状況に応じて粘土化帯Nc(clay主体)、Nb(breccia主体でclayを含む)、Nj(jointが発達しclayを挟む)として記載した。岩級区分は、1mのコアの区切りに関係なく区分されるため、密度と岩級を比較する際に、便宜的に1mのコアにおいて75cm以上の長さを占める岩級により、その1mのコアを代表する事とした。その結果、全長300mのコア試料のうち、地表付近の盛土、堆積層を除いた岩盤部251mの中で、147m(147区間)の密度-岩級データが得られた。147mのうち、各岩級の累積長さは、B級が79m、CH級が24m、CM級が41m、CL級が3mである。残りの104mは、1mのコアが75cm未満の長さで複数の岩級からなるものである。また、D級岩盤は分布せず、破砕帯はCM級、CL級岩盤中にコア長75cm未満で数か所に分布する。なお、251mのうち、各岩級の累積長さは、B級が108m、CH級が57m、CM級が73m、CL級が13mである。
各岩級の密度の相加平均と範囲は、B級岩盤は2.53(g/cm3:以下同様)と0.10、CH級岩盤は2.51と0.11、CM級岩盤は2.48と0.42、CL級岩盤は2.42と0.11であった。CL級の区間数は少ないものの、岩級の程度が良くなるにつれて密度平均値が漸増している。また、CM級の範囲は0.42(2.58~2.16)で、B級、CH級の範囲に比べばらつきが大きい。これはCM級が、割れ目が多いが岩片は堅い試料や、風化しているが長棒状の試料が混在することによると考えられる。なお、掘進長100mのコアでは地表からの深度44m~49mの区間で、CL級岩盤の密度平均値を下回る連続的な密度低下部が認められた。コア観察によれば、角礫状の割れ目が発達するなど、岩盤劣化部となっている。この岩盤劣化部は、活断層沿いに伴う破砕帯のような掘進長数10mの密度低下部(池田ほか, 2001より図読)に比較すると小規模で、200mのコアに連続しない。したがって、確認されたデータからは、重量構造物の建設に関してただちに問題となるような大規模な脆弱部は見られない。1mコア試料の連続的な重量測定は、比較的簡便であり、地質解析の合理化へ向けた普及が望まれる。
本稿は、文部科学省の令和2年度及び令和3年度科学技術試験研究委託事業「もんじゅサイトに設置する新たな試験研究炉の概念設計及び運営の在り方検討」の成果の一部を含んでいる。
【文献】ダム工学会編, 2012, 総説岩盤の地質調査と評価, 529p., 池田隆司ほか, 2001, 防災科学技術研究所報告, 第61号, 141-153., 山田政典ほか, 2011, 全地連「技術フォーラム2011」京都[84]
岩盤部のコアの湿潤密度は、半割塩ビ管に載せた1mコアの重量(kg)を小数点第1位まで測定し、半割塩ビ管重量(0.7kg)を引き、コア直径6cm、長さ1mとして計算した体積で割る事により、密度(g/cm3)を小数点第2位まで求めた。岩級は割れ目の状態、コアの形状、コアの硬さに基づき、B、CH、CM、CL、D級に区分するとともに、破砕帯は粘土化の状況に応じて粘土化帯Nc(clay主体)、Nb(breccia主体でclayを含む)、Nj(jointが発達しclayを挟む)として記載した。岩級区分は、1mのコアの区切りに関係なく区分されるため、密度と岩級を比較する際に、便宜的に1mのコアにおいて75cm以上の長さを占める岩級により、その1mのコアを代表する事とした。その結果、全長300mのコア試料のうち、地表付近の盛土、堆積層を除いた岩盤部251mの中で、147m(147区間)の密度-岩級データが得られた。147mのうち、各岩級の累積長さは、B級が79m、CH級が24m、CM級が41m、CL級が3mである。残りの104mは、1mのコアが75cm未満の長さで複数の岩級からなるものである。また、D級岩盤は分布せず、破砕帯はCM級、CL級岩盤中にコア長75cm未満で数か所に分布する。なお、251mのうち、各岩級の累積長さは、B級が108m、CH級が57m、CM級が73m、CL級が13mである。
各岩級の密度の相加平均と範囲は、B級岩盤は2.53(g/cm3:以下同様)と0.10、CH級岩盤は2.51と0.11、CM級岩盤は2.48と0.42、CL級岩盤は2.42と0.11であった。CL級の区間数は少ないものの、岩級の程度が良くなるにつれて密度平均値が漸増している。また、CM級の範囲は0.42(2.58~2.16)で、B級、CH級の範囲に比べばらつきが大きい。これはCM級が、割れ目が多いが岩片は堅い試料や、風化しているが長棒状の試料が混在することによると考えられる。なお、掘進長100mのコアでは地表からの深度44m~49mの区間で、CL級岩盤の密度平均値を下回る連続的な密度低下部が認められた。コア観察によれば、角礫状の割れ目が発達するなど、岩盤劣化部となっている。この岩盤劣化部は、活断層沿いに伴う破砕帯のような掘進長数10mの密度低下部(池田ほか, 2001より図読)に比較すると小規模で、200mのコアに連続しない。したがって、確認されたデータからは、重量構造物の建設に関してただちに問題となるような大規模な脆弱部は見られない。1mコア試料の連続的な重量測定は、比較的簡便であり、地質解析の合理化へ向けた普及が望まれる。
本稿は、文部科学省の令和2年度及び令和3年度科学技術試験研究委託事業「もんじゅサイトに設置する新たな試験研究炉の概念設計及び運営の在り方検討」の成果の一部を含んでいる。
【文献】ダム工学会編, 2012, 総説岩盤の地質調査と評価, 529p., 池田隆司ほか, 2001, 防災科学技術研究所報告, 第61号, 141-153., 山田政典ほか, 2011, 全地連「技術フォーラム2011」京都[84]