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[HCG22-P03] 古土壌を用いた古環境復元
ー古第三系白水層群石城層を例にー
キーワード:古気候、古土壌、土壌
古第三紀の日本列島は, 日本海形成以前のユーラシア大陸東岸に位置していたことが知られている. 日本海と中央高地の形成によって, 現在の日本列島は海洋の影響が大きい気候条件下にある. 日本海と中央高地の形成は新第三紀から第四紀にかけて生じており, 古第三紀の日本列島は現在と大きく異なる気候条件下にあったと考えられる. 本研究では白水層群石城層の陸生層中に発達する古土壌を対象に古環境復元を行い, 古風化環境や当時の日本列島の気候条件を検討した. 堆積相解析の結果, 本研究地域の堆積環境は礫質河川と蛇行河川の氾濫原において堆積し, 陸棚環境へと移り変わったと考えられる. 本研究地域では, 礫質河川のマイナーチャネル堆積物, 蛇行河川の氾濫原堆積物および後背湿地堆積物において古土壌を認めた. 本研究では, それぞれの古土壌を現代の土壌区分と対比した. その結果, Entisol, Inseptisol, Ultisolの3種類の古土壌が発達していたと判断した. EntisolやInseptisolが未熟な土壌であるのに対して, Ultisolは強い風化を被った成熟した土壌である. Ultisolは一般に, 温暖湿潤な環境で生成され, Ultisolの存在は, 本研究地域が温暖かつ降水量の多い気候成条件にあったことを示唆する.