日本地球惑星科学連合2023年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG23] 気候変動への適応とその社会実装

2023年5月22日(月) 13:45 〜 15:00 202 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:山野 博哉(国立環境研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)、座長:山野 博哉(国立環境研究所)、石川 洋一(海洋研究開発機構)、大楽 浩司(筑波大学)、田村 誠(茨城大学地球・地域環境共創機構)


14:30 〜 14:45

[HCG23-04] CLIMADAの洪水被害分析への適用性と気候変動影響評価手法に関する検討

*鶴島 大樹1齊藤 龍1、荒井 崇嘉1、大楽 浩司2 (1.SOMPOリスクマネジメント株式会社、2.筑波大学)

キーワード:洪水、気候変動、TCFD

NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)は、2021年より金融セクターに向けた気候変動リスク評価のための独自シナリオや推奨されるリスク評価モデル(CLIMADA)等を公開した。これらのデータ・ツール群は主にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づく気候変動リスク分析等を簡易的に行うものであり、民間企業においてその活用が進みつつある。
一方、NGFSが推奨している台風や洪水による被害分析のための数理モデル(CLIMADA)については、上記の使用目的に照らした場合、その科学的な妥当性や適用限界の評価、ならびに気候変動影響の定量化手法に関する議論が不足している。例えば洪水の被害分析に着目すると、CLIMADAによる分析の妥当性検証はグローバルスケールでの過去損失の再現に留まっており(Inga et al.,[2021])、国・地方・あるいは企業体レベルでの分析精度や気候変動影響の評価手法に関する検討が十分ではない。このため、当モデルによるリスク分析結果が誤用され、不適切な意思決定につながる可能性がある。
この点を踏まえ、本研究では日本国内における洪水被害に着目し、CLIMADAによる分析結果と他モデル・データとの比較検証を行うとともに、CLIMADAを活用した洪水被害に対する気候変動影響評価手法について検討を行った。