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[HCG23-P06] 大気の川による水害リスクの気候変動影響評価
キーワード:水害リスク、大気の川、気候変動
大気の川とは,熱帯から中緯度および高緯度へ水分を輸送する巨大で細長い水蒸気流を指します.大気の川による影響は,大きな被害であれば洪水被害,小さな被害であれば干ばつを抑制する降雨を引き起こすため,北米やヨーロッパ、東アジア等で非常に重要です.特に近年東アジアでは,令和3年8月の大雨をはじめ,大規模な水蒸気の流れ込みによる豪雨事例が立て続けに起きており,それらのいずれも南西風により流れ込む水蒸気の流れが顕著であったことが指摘されています.先行研究より,梅雨期の強い降水の40%~70%に大気の川が関連している可能性が示されました。一方,日本に上陸する大気の川は様々な形状(経路・向き)をしていることから,形状ごとに豪雨が発生する地域が異なります.そのため,豪雨を起こす大気の川の特徴を調査することは重要な研究課題です.そこで私は,過去に日本列島に上陸した大気の川と水害統計データをもとに,甚大な豪雨被害を起こす大気の川の特徴を明らかにすることを目的としています.過去に日本に上陸した大気の川のデータは,気象庁55年長期再解析データを使用しており,その水平解像度は1.25°×1.25°,時間解像度は6時間です.再解析データから得た比湿および水平方向の風速をもとに大気の川を抽出します.水害統計データは,国土交通省水管理・国土保全局が取りまとめた水害統計データを使用します.具体的なパラメータは,規模や経路,向き,大気条件,持続性としています.日本に上陸した大気の川が引き起こす強い降水の特徴とそれに伴う水害リスクの関係を明らかにすることで.気候変動による将来の大気循環や気温の変化が水害リスクに与える影響を推計することが可能になります.この研究により,豪雨による水害レベルの早期予測や気候変動による影響推計に貢献し,日本の防災・減災に繋がると考えています.